研究課題
基盤研究(B)
AAAタンパク質が、エネルギー依存的に基質タンパク質に作用する様子を可視化し、その分子機構を解明するため、生化学的手法による解析と高速原子間力顕微鏡による観察を進めた。AAA型シャペロンp97は、N末端側から、N、D1、D2ドメインからなり、D1とD2がATPaseドメインで、安定なリング状6量体構造をとる。ATP存在下で、N-D1ドメインがD2ドメインに対して、約23°時計回りに回転し、また元の位置に戻る。このATP依存的回転にはATPのD2ドメインへの結合が重要で、ATPの加水分解は必要ないことを、変異体を用いた解析で明らかにした。D2ドメインの構造変化を詳細に解析するため、修飾した基板上にN末端にHisタグを付けたp97のN末端側を固定することに成功した。ヒトp97ホモログVCPの変異により、筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭葉変性症を発症することが分かっており、患者ではTDP-43凝集体が蓄積する。すでにTDP-43アミロイド線維にVCPが結合することを生化学的解析で証明し、その様子を高速原子間力顕微鏡で観察しているが、TDP-43アミロイド線維に及ぼすVCPの効果を検討し、ATP存在下で、線維の脱凝集を認めた。この脱凝集活性については再現性のある結果を得ているが、現在のところ活性は弱く、その効率を上げる条件を検討している。AAA型プロテアーゼである26Sプロテアソームがポリユビキチン化基質を分解する過程を詳細に解析するため、高速原子間力顕微鏡による26Sプロテアソームの観察条件を検討した。現在のところ、解析に十分な解像度で26Sプロテアソームを観察するに至っていない
3: やや遅れている
電子顕微鏡やAFMによる構造解析が難航していることと、一部の材料の調製に手間取っているため、全般的にやや遅れている。
構造解析はやや遅れているが、p97のTDP-43アミロイド線維の脱凝集活性が検出できたので、その分子機構の解明を最優先課題として推進し、構造解析については技術的改善を検討し、課題の目的の達成を図る。
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