研究課題
酵母のミトコンドリア内膜に局在するAAAタンパク質Bcs1の機能解析を進め、膜間部に位置するN末端αヘリックス領域の機能的重要性を明らかにし、その結果をBBRC誌に発表した。本論文で、Bcs1と複合体を形成するタンパク質が存在する可能性を示唆し、現在その同定を行っている。また、p97のATP依存的回転運動の高速AFM解析結果をまとめ、Structure誌に報告し、p97の作動モデルを提唱した。酵母のp97ホモログCdc48の変異により、ミトコンドリアの形態異常が起こることを見つけ、電子顕微鏡で詳細な構造解析をし、論文投稿中である。微小管切断活性をもつAAAタンパク質kataninの機能解析では、α、β両チューブリンのC末端領域がkataninによる切断に必要であること、これは単にkataninの微小管への結合では説明できないことを明らかにし、投稿準備中である。また、今年度は26Sプロテアソームの高速AFM観察について技術的進展が見られ、クライオ電顕の解像度に近い画像を取得できている。現在のところ、観察速度は1フレーム/秒とまだ十分でないが、今後条件を検討すれば、高速で高分解能の画像を得ることができると考えられる。一方、基質タンパク質の高速AFM観察にも成功しており、こちらは、不安定なドメインがふらふら動く様子が観察できている。これにより26Sプロテアソームによる基質分解過程の一部始終を高速AFM観察できる可能性が見えてきたが、基質-26Sプロテアソームの高速AFM観察にはまだ至っていない。
2: おおむね順調に進展している
Bcs1とp97の結果を論文発表することができ、Cdc48の論文は投稿中であり、kataninの論文も作成中である。26Sプロテアソームが高速AFMの観察系に乗ってきたことや、p97の変異体の構築や阻害剤の入手ができ、それらの解析に着手していることなど、技術面と試料の調製の両方において今年度の進展が見込まれ、全般的に順調に進展している。
最終年度となる平成26年度に解析を完了できるものについては論文にまとめ、発表する。論文発表にまで至らないものもあると思われるが、論文発表に必要な主要なデータを平成26年中に取得し、早期発表をめざす。
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Biochem. Biophys. Res. Commun.
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Structure
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