研究概要 |
自然免疫は、病原体が体内に侵入したときに最初に惹起される防御反応である。私達は、自然免疫の活性化に重要なToll/Toll-like receptor(TLR)pathwayが、糖鎖修飾によって負に制御されていることを見出し、その糖鎖修飾に必要なsenju遺伝子を同定した。そこで本研究では、私達が見出した糖鎖がどのようにして自然免疫を制御しているのかを明らかにすることを目指している。 senju変異体をさらに解析したところ、Toll pathwayのみならず、自然免疫を制御するJNK, JAK/STAT,MAPK pathwaysにも異常があることがわかった。そして、それらのpathwaysはすべてsenju変異体で異常に亢進していることがわかった。私達は、とくにToll pathwayに着目し、そのpathwayのどの分子の糖鎖異常が原因なのかについて解析を進めた。その結果、Toll受容体の内在性リガンドであるSpatzle(Spz)が原因分子であることを見出した。さらに、どのタイプの糖鎖が原因で、Toll pathwayが異常に活性化しているかを調べたところ、N型糖鎖が原因であることを見出した。さらに、Spz上のN型糖鎖は、senju変異体において異常になっていることを見出した。これらの結果より、senju変異体ではSpz上のN型糖鎖が異常になり、その結果、Toll pathwayが異常に活性化していることが明らかとなった。
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