研究課題
(1) EBI3/p19の会合に関する検討:まず、EBI3発現ベクターとFLAGタグ付きp19発現ベクターを293T細胞に強制発現し2つの分子の会合を免疫沈降反応により調べると、2つの分子が会合することがわかった。(2) EBI3/p19の機能と作用機序:in vivoでのTh分化への効果を調べるため、卵白アルブミン(OVA)を完全フロインドアジュバントと共に免疫後、EBI3/p19発現ベクターをHydrodynamic injection法により静注し、1週間後所属リンパ節細胞をin vivoでOVAで再刺激し産生されるサイトカインをELISAで測定しTh分化への効果を調べた。その結果、EBI3/p19はIL-17産生を増強する活性を有していることが示唆された。(3) EBI3/p19の疾患モデルマウスへの影響:EBI3/p19発現ベクターをHydrodynamic injection法によって投与し疾患モデルマウスを用いて病態形成への影響を調べようと何度か試みたが、データがばらつき効果がはっきりしなかった。そこで、EBI3/p19を肝臓特異的なヒトアミロイドP蛋白特異的なプロモーターの下流に繋いだコンストラクトを作製し、EBI3/p19を高発現するトランスジェニックマウスを2系統樹立した。(4) EBI3/p19による腫瘍増殖の制御:EBI3/p19およびコントロールとしてEBI3とp19をそれぞれ単独発現するベクターを構築し、マウスメラノーマ細胞B16F10に遺伝子導入し、G418で薬剤選択しそれぞれ複数のクローンを作製した。In vitroでの増殖とMHCクラスI発現には、大きな差が見られなかったので、マウスの側腹部皮下に植えて増殖を比較した所、EBI3/p19を発現した腫瘍は増殖が抑制され、EBI3単独を発現した細胞は増殖が促進される傾向にあった。
2: おおむね順調に進展している
実験計画の順番が後先になっているものがあるが、概ね予定通り進んでいると思われる。
(1) EBI3の機能と作用機序:T細胞におけるEBI3の役割を明らかにするため、免疫不全RAG欠損マウスにナイーブCD4+T細胞を移入し誘導する腸炎モデルを用いて検討する。経時的に体重測定後、腸の長さやHE染色による組織学的解析、FACSを用いて粘膜固有層リンパ球の細胞内サイトカイン染色等を行う。(2) EBI3/p19の疾患モデルマウスへの影響:昨年度作製した2つのEBI3/p19のトランスジェニックマウスを用いて、コンカナバリンA(Con A)投与で誘導する自己免疫性肝炎への感受性を比較検討する。経時的に血中のGOT/GPTおよびサイトカイン量、肝臓組織のHE染色による炎症の程度の組織学的解析、肝臓より単核球を調製しRNAを抽出種々のサイトカイン等の発現をRT-PCRにより調べる。(3) EBI3/p19およびEBI3単独による腫瘍増殖の制御:EBI3/p19およびEBI3が腫瘍増殖に影響を与える作用機序を明らかにするために、EBI3およびp19に会合する分子を免疫沈降反応により探索する。(4) EBI3欠損マウスにおける精巣炎症の誘発:最近、EBI3欠損マウス10週令の精巣をHE染色を用いて組織学的に解析したところ、精子形成の異常が観察された。精巣は免疫特権部位なので、これらの結果はEBI3が精巣で免疫抑制の誘導に関与している可能性を示唆しており、その可能性や作用機序について検討する。
極少額の未使用金は、最終的に交付金額と同額に端数を合わせることが難しいため、次年度への繰越金とした。この極少額の未使用金を合わせた全ての経費は、今研究推進に必要なマウス、抗体、試薬、培養器具などの消耗品代やアルバイトの人件費代とその他に充てる予定である。
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