研究課題/領域番号 |
24370060
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柴田 穣 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20300832)
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研究分担者 |
野口 巧 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60241246)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 1分子分光 / 2光子励起顕微鏡 / エネルギー移動 |
研究概要 |
我々は、世界で初めて極低温用の生物光学顕微鏡において0.9という高い開口数を実現した。これにより、液体ヘリウム温度下で300nm程度の高い空間分解能で生体試料を観測する手法を手にした。開発した顕微鏡では色収差も高い精度で補正され、時-空間-スペクトル分解測定への応用に最適である。2012年度は、東北大で新たな研究チームの立ち上げの年として位置付けた。年度初頭に前所属である名古屋大学から装置の移設を終え、装置の再立ち上げ作業を行った。それとともに、東北大の大学院生に装置の原理、光学系の調整手順、クライオスタットによるサンプル冷却の手順など、基本的操作法を習得する期間とした。これまで、フェムト秒チタンサファイアレーザーの基本波である800nmのレーザー光を用いた、2光子励起顕微鏡としての使用法のみを用いてきたが、2012年度に新たにダイクロイックミラーを購入し、HeNeレーザーの633nmのCW光を新たに1光子励起の光源とすることも可能とした。同時に、検出器前にピンホールを設置することで、共焦点顕微鏡にすることで、より高い空間分解能を実現した。これまでのところ、ほぼ理論値通りの空間分解能を達成している。また、以前から課題であったサンプルステージの機械的な不安定性を改善するため、新たに設計を行い真空用ステージを購入して、サンプル位置の揺らぎを低減することに成功した。 2012年度後半には、新たに分光用CCDカメラを購入しスペクトル測定が可能となるようにした。予定より早くCCDが納入されたため、CCDを自動制御するLabViewのプログラム作成に着手した。 まだ完成には至っていないが、2013年度前半にはCCDを組み込んだプログラムによりシステム全体の制御が可能となると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステージの不安定性の低減や、励起光源を他波長にすること、またCCD検出器を自動制御するプログラムの開発も予定より早く着手できているなど、概ね計画は順調に進んでいる。サンプル温度が、当初期待した温度まで降下できていない点が次年度以降の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
CCD制御のためのLabViewプログラムの開発を急ぐ。また、これまでに極低温で世界最高の空間分解能を達成することが出来ており、こうした成果を論文にまとめる。サンプル温度を十分下げるために、新たなコールドヘッドの設計も視野に入れつつ、サンプルホルダとコールドヘッドを繋ぐ部分の改良を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度学とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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