研究課題
基盤研究(B)
本研究では、LEAタンパク質の示すタンパク質凝集抑制機構、細胞の凝集・融合に対する抑制効果及びシャペロン機能、さらにはトレハロースとの相乗効果を物理化学実験とin silicoシミュレーションより解明し、生物の耐性生物のメカニズムを明らかにするとともに、産業的応用も目指す。平成24年度は、LEAタンパク質の繰返し配列部分をモデルしたペプチド(AKDGTKEKAGEの2回繰返しペプチド)を用いて、等電点の異なるタンパク質(リゾチームpI=9.1、HybD pI=4.6)に対して乾燥凝集抑制効果を光散乱法により調べた。その結果、LEAペプチドはいずれのタンパク質に対しても凝集抑制効果を示すことが判明した。次に、LEAペプチドとこれらパートナータンパク質との結合定数を水晶発振子マイクロバランス法により調べ、10-5M程度の値を得た。さらにこれらの実験結果を原子レベルで解釈するため、分子動力学シミュレーションを実行した。その結果より、LEA22モデルはタンパク質表面のどの残基にどのような相互作用(静電相互作用、水素結合、疏水結合)で結合しているかを明らかにした。以上を総合して、LEAタンパク質は"分子シールディング"機構を通してシャペロンとして働くことを実証した。さらに、巨大リボソームやsmall unilamellar vesicleを用いて、LEAペプチドの細胞膜に対する凝集抑制効果についても光散乱実験から実証した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初予定では、細胞膜モデル(リボソーム)を使った実験はH25年度にやる予定であったが、そのかなりの部分を今年度中に行うことができた。
LEAペプチドと同じアミノ酸組成を持つが配例をランダム化したペプチドとの機能の比較とLEAタンパク質における非繰返し配列の機能の探索。ネガティブコントロールとの比較。計算機シミュレーションによる、LEAペプチドータンパク質(or細胞膜)間相互作用の駆動力の解明。
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