研究課題/領域番号 |
24370066
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
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研究分担者 |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
村上 緑 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20324387)
岩佐 達郎 室蘭工科大学, 工学部, 教授 (00133926)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | レチナール蛋白質 / X線結晶構造解析 / 光駆動プロトンポンプ / 視物質 / 塩素イオンポンプ / 光遺伝学 / G蛋白質共役レセプター / 光センサー |
研究概要 |
研究目標:タンパク質の表面部分に変異を加え、結晶内のタンパク質の充填具合を自在に制御することを試み、結晶格子力がレチナールの光異性化後のタンパク質内ストレスの解放プロセスに及ぼす影響についての解析を推し進める。同時に、タンパク質の高次構造の光反応に伴う変形について調べ、サブユニット間の協同現象と機能発現効率との相関を解析する。 24年度の成果:1)古細菌型ロドプシンの構造解析:1-1》光駆動プロトンポンプの構造解析。(1)好熱性好塩菌Haloterrigena Thermotolerans由来のデルタロドプシンの基底状態の構造を求めた。(2)高度好塩菌Haloarcula vallismortis由来のCruxrhodopsinの良質な3次元結晶を作製し、2.3A分解能の回折データを収集した。(3)バクテリオロドプシン(BR)の膜表面から飛び出したループ部分をハロロドプシン(pHR)のものに置き換えたBR・pHRキメラ蛋白質を作製した。(4)中国モンゴル自治区のロジノル塩湖から採取した好塩菌を単離し、遺伝子解析を行い、この菌がバクテリオロドプシン類似タンパク質遺伝子を持ち、タンパク質を発現していることを明らかにした.1-2》塩素イオンポンプの構造解析:(1)ハロロドプシン(pHR)のLおよびN中間体に関する構造データを収集し、光照射後のハロゲン原子の動きについての情報を得た。2)無脊椎動物系ロドプシンの構造解析:2-1>イカロドプシンの酸性型メタ中間体の構造データを収集した。2-2>タコロドプシンの結晶化。3次元結晶を得ることに成功した。しかし、歩留まりが悪いままの状況にある。3)クライオ原子間力顕微鏡による構造解析:(1)クライオ原子間力顕微鏡の分解能の向上を図った。(2)改良した装置を用いてバクテリオロドプシンの3次元結晶の成長過程を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で掲げた複数の研究テーマのうち、順調に目標を達成できたと言い切れるものが限られており(塩素イオンポンプの反応中間体の構造解析、新規の光駆動プロトンポンプの構造決定、など)、他の幾つかのテーマ(タコロドプシンやセンソリーロドプシンの結晶化、無細胞系でのタコロドプシンの発現・再構成、など)に関しては、いくばくかの進展があるものの、最終目標までの道のりは短くはないのではないかと思わせる状況にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
膜蛋白質の構造解析には、タンパク質の発現・精製、結晶化、など時間を要するプロセスが含まれるので、より効率的に成果が得られるようにするための工夫を凝らす。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用状況:基金分に270万円もらって211万円使用し、次年度に予定している購入計画のため51万円を残した。2013年度の使用計画:前年度からの繰越額と合わせてクライオ原子間顕微鏡の性能を向上させるための光学部品・電子部品・その他一式を購入することを予定している。
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