研究課題
本研究は、張力負荷によりアクチンフィラメントが構造変化し、それによってミオシンモーターとの結合が促進されるという仮説を、以下の3つの手法で検証することを目的とする。1.伸縮性シリコーン基板上にアクチンフィラメントを固定し、基板を引っ張ったときにGFP標識したS1(ミオシンモーター領域)の結合が増加するか?シリコーン基板上でGFP-S1の蛍光像が観察できるようになったが、引張方向と直交方向のアクチンフィラメントでGFP蛍光強度に明確な差は見いだせなかった。この結果は上記仮説を支持しないが、アクチンフィラメントとシリコーン基板の接着に問題があった等の可能性が残されており、引き続き検討を進める。2.細い細胞間糸を引っ張りながら分裂中の細胞において、細胞間糸に掛かる力と、糸中のアクチンフィラメントの本数を見積もり、アクチンフィラメント一本に掛かる力を見積もることをめざす。技術的な理由により当初予定していたマイクロピラーアレーを用いた観察は成功せず、代替案として伸縮性シリコーン基板上で細胞が基質に及ぼす牽引力を見積もることに成功した。また蛍光ファロイジンの染色強度から糸中のアクチンフィラメントの本数を見積もり、一本あたりに負荷される力は1 pN程度と想定より小さな値を得た。この値は今後のin vitro力負荷実験の基礎となる。3.力に依存したアクチンの構造変化を分子内FRETにより検出する。昨年度までに分子動力学的なシミュレーションにより力負荷にともなって距離が変化すると推測されるアミノ酸残基ペアが複数組リストアップされている。そこでまず、41番と233番の残基間の距離変化を検出するため、それぞれのアミノ酸残基に蛍光色素を結合させたアクチンを調製したが、この二重標識アクチンは重合能が低く、かつ凝集する傾向があり、本実験には使えないことが判明した。今後他のペアについて検討を行う。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://staff.aist.go.jp/t-uyeda/HP/