研究課題/領域番号 |
24370071
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小布施 力史 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (00273855)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ヘテロクロマチン / HP 1 / ポリコーム複合体 |
研究概要 |
本課題は、HP1が形成する構成的ヘテロクロマチンとポリコーム(PcG)複合体が形成する条件的ヘテロクロマチンとのクロストークの分子基盤を明らかにすることを目的とする。 本年度は、ポリコーム複合体が結合し修飾するH3K27me3が濃縮されている不活性X染色体に濃縮されているHBiX1-SMCHD1複合体について詳細に解析を行った。SMCHD1とHBiX1複合体の他の機能を類推するために、SMCHD1の結合因子の探索を行った。SMCHD1の免疫沈降産物にはHBiX1を含めて有為な結合因子を見いだすことが出来なかった。HP1およびHBiX1の結合因子の探索の結果と考え合わすと、少なくともタイトな複合体を形成するタンパク質性の因子はHP1-HBiX1-SMCHD1であることが推定された。HP1-HBiX1については2ハイブリッド法により直接結合が確認できたが、HBiX1-SMCHD1との直接結合はこの方法では確認できなかった。しかしながら、HBiX1のC末端に存在するcoiled-coilに点変異を導入することでHbiX1-SMCHD1の結合は失われることから、HBiX1-SMCHD1は直接結合であることが強く示唆された。また、HBiX1-SMCHD1の相互の局在依存性について検討したところ、それぞれの局在は相互に依存すること、H3K9me3領域への結合はHBiX1、H3K27me3領域への結合はSMCHD1に依存することが明らかになった。これら成果の一部はNSMBに発表した。 並行して、HP1に間接的に結合するヒストンメチル化酵素がその結合因子と結合することにより、メチル化DNAを認識し結合する事が判明した。また、興味深いことに、この複合体は両鎖ともメチル化されたDNAのみに結合することが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
HBiX1-SMCHD1の解析において、局在依存性などの解析が順調に進み、他の課題の成果と合わせて、Nature Structural & Molecular Biology誌に掲載された。また、ポリコーム複合体とHP1との連携を考える上で、ヒストン修飾酵素は大変重要な要素であるが、その中の一つがメチル化DNAに特異的に結合することは、今後の展開に大きく寄与すると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を受けて、G9aなどのヒストン修飾酵素を介したHP1-PcGの連携と機能を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度期間中に発見したタンパク質とヒストンメチル化酵素とが結合することにより、メチル化DNAを認識し結合する事が判明した。そのため、メチル化DNA結合様式を解析し、ヒストン修飾とメチル化DNAの両方を考慮した詳細な局在化機構の解析が必要となった。 ヒストンメチル化酵素に結合する因子の探索、局在化機構の解析を行うための試薬などに25年度中に充当する計画を立て、実際に執行した。
|