研究課題
本研究は、リボソームに複数コピー存在するストークタンパク質のリボソーム・翻訳因子間相互作用および翻訳反応効率化への役割を解明することを目的としている。平成26年度は、P. horikoshiiストークタンパク質のC末端部位と各種翻訳因子(aEF-1α、aEF-2、aIF5B)間複合体の結晶構造を最終決定した。aEF-1αとaEF5BについてはGDP結合型、EF-2についてはGTP結合型の結晶構造が解明された。ストークC末端は各因子のドメインIと主に疎水結合を介して結合していたが、結合部位の位置関係は各因子で異なっており、各因子はストークタンパク質とそれぞれ特有の結合様式をもつことが推察された。得られたEF-1α・GDP・ストークC末端複合体の構造から、リボソーム上でGTPが加水分解を受けた直後にEF-1αにストークC末端が結合している構造モデルを提示した。これまでに、ストークタンパク質aP1が遊離状態で本来の二量体ではなく四量体であることが示されたが、平成26年度には、四量体形成による翻訳因子結合性への影響を解析した。aP1のN末端部位His-タグを付加させることにより、四量体形成が抑制され、二量体になった。そして二量体になることで翻訳因子の結合性は著しく低下した。しかしながら、P0上に結合したaP2二量体はaEF-1αとaEF-2の両因子への高い結合性を示した。以上の結果より、遊離型aP1が四量体を形成することでaP0上に結合したaP2と類似の構造・動態がとれるようになり、翻訳因子との結合性が増強されると推察した。aP1のC末端の疎水性アミノ酸に変位を導入することでリボソームの翻訳因子受容性を低下させるとともに、aEF-1α、aEF-2、aIF5B各因子のリボソーム機能中心である23S rRNAのsarcin-ricinループ(SRL)との結合性を低下させることを証明した。この研究で、リボソームストークとrRNAのSRLの機能面の関連性を明確にした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.sc.niigata-u.ac.jp/biologyindex/uchiumi-ito/