研究概要 |
複製開始反応は、真核細胞においては2段階の制御を受けている。複製時にDNA2本鎖を巻き戻す複製時ヘリカーゼの染色体DNA上の複製開始点へのローディング(pre-RC形成、細胞周期のG1期)と、複製時ヘリカーゼの活性化と複製フォークの確立(S期)。この過程に関わる因子は以下の4種類に大別できる。 (1). pre-RCに含まれ、複製フォークには含まれないもの;(2). pre-RC、複製フォークの両方に含まれるもの(Mcm2-7);(3). pre-RC、複製フォーク共に含まれないが複製フォーク形成には必要なもの(Sld2, Sld3, Dpb11);(4). pre-RCに含まれないが、複製フォークには含まれるもの(Cdc45, GINS, Polε他) これまでの解析結果はグループ(3)の因子(Sld2, Sld3, Dpb11)の会合により促進される開始複合体の形成過程そのものが、複製開始・抑制のスイッチとなっており、それらの会合がCDKによるリン酸化で直接制御されていることを示している。開始複合体にはこれらの他、グループ(4)の因子も含まれているが、それらの開始複合体形成における役割は不明である。25年度までに得た結果:グループ(4)因子GINSが開始複合体形成に果たす役割についてを論文として発表した(Tanaka S*, Komeda Y, Umemori T, Kubota Y, Takisawa H, Araki H. (2013). Efficient initiation of DNA replication in eukaryotes requires Dpb11/TopBP1―GINS interaction. Mol Cell Biol. 33(13):2614-2622. )。また、従来の突然変異作製法を改良したことにより、ほぼ全ての複製因子についてタイトな変異体が得られたので、それらを用いて、各因子が複製開始反応において果たす役割の解明を進めている。
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