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2014 年度 実績報告書

染色体分離の瞬間を規定するセパレースの活性制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 24370076
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

広田 亨  公益財団法人がん研究会, 実験病理部, がん研究所・実験病理部 (50421368)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード染色体分配 / 細胞分裂 / セパレース / 活性プローブ
研究実績の概要

染色体分離においては、姉妹染色分体を結合するコヒーシンを切断するプロテアーゼであるセパレースが必須の役割を担っている。にもかかわらず、細胞内の酵素量が少ないうえに、酵素活性化の指標を欠いていたために、セパレースが細胞内でどのような制御を受けているのかは不明であった。研究代表者は、先行研究においてセパレースの活性プローブを開発し、セパレースは染色体分離に先立って染色体近傍で急激に活性化することを見出した(Dev Cell 2012)。本研究の目的は、そのセパレース活性化の分子機構を明らかにすることにより、染色体分離の制御特性に迫ることである。平成26年度までの研究で、このセパレースの爆発的な活性化には、セパレースの分子間切断が関連することが分かった。これを足掛かりに、平成26年度は、この分子間切断と既知のセパレース活性化機構 ―セパレースの抑制的リン酸化およびセキュリンの結合― との関連性を検討した。そのために、そのリン酸化修飾を特異的に捉える抗体を作成し、脱リン酸化する(即ち、抑制がはずれる)タイミングを調べたところ、ちょうど後期直前のセパレースの活性化が見られる時期に一致することが分かった。またセキュリンの結合も同様に、セパレースの活性化のタイミングと一致し、セパレースが切断された後はセキュリンと結合しなくなることが分かった。つまり、セパレースの活性化においては、セパレースの切断、脱リン酸化、セキュリンからの解離の三者の反応が相互に関連すると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

年度の終わり頃に顕微鏡光源の予期しない故障がおこり、安定して顕微鏡解析を行うことができない状況となってしまった。その為に計画した解析が終えることができていない。新規光源を装備次第に実験を再開する予定である。

今後の研究の推進方策

セパレースの切断、脱リン酸化、セキュリンからの解離の三者の反応について、その因果関係を明らかにすべく、それぞれの反応を阻害する変異体を作成し、活性プローブを用いた生細胞観察による検討を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度に顕微鏡光源の故障という不測の事態が起こり、そのためにライブイメージングを用いた解析を進めることが出来なくなった。活性プローブを使ったイメージング解析は本研究課題の中心的なアプローチであるため、できるだけ早期に修理をして、その関連実験にかかわる経費と次年度に使用する予定とした。

次年度使用額の使用計画

顕微鏡光源の購入に充当する計画である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 染色体不安定性の成因2015

    • 著者名/発表者名
      小西 惇、松高 愛、広田 亨
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 47 ページ: 5-8

  • [雑誌論文] Clarifying the role of condensing in shaping chromosomes2015

    • 著者名/発表者名
      Nagakasa, K., Hirota T.
    • 雑誌名

      Nature Cell Biology

      巻: 17 ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Smc5/6-mediated replication progression contributes to chromosome assembly in human cells.2014

    • 著者名/発表者名
      Gallego-Paez, LM., Tanaka, H., Bando, M., Takahashi, M., Nozaki, N., Nakato,R., Shirahige, K., Hirota, T.
    • 雑誌名

      Molecular Biology of the Cell

      巻: 25 ページ: 302-317

    • DOI

      10.1091/mbc.E13-01-0020.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ライブ・セル・イメージング解析を用いた細胞分裂研究法:バイオセンサーによる酵素活性の時空間的解析.2014

    • 著者名/発表者名
      高橋元子、進藤軌久、広田 亨
    • 雑誌名

      Surgery Frontier

      巻: 21 ページ: 205-209

  • [学会発表] HP1-assisted Aurora B kinase activity prevents chromosome segregation errors2015

    • 著者名/発表者名
      広田 亨
    • 学会等名
      国際高等研究所研究プロジェクト「クロマチンデコーディング」研究会
    • 発表場所
      京阪奈
    • 年月日
      2015-03-19 – 2015-03-21
    • 招待講演
  • [学会発表] An origin of chromosome missegregation in mitosis2014

    • 著者名/発表者名
      Hirota T.
    • 学会等名
      The 37th Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
    • 招待講演
  • [学会発表] A molecular lesion of chromosome missegregation in mitosis2014

    • 著者名/発表者名
      Hirota T.
    • 学会等名
      The 73rd Japanese Cancer Association, Annual Meeting
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-27
    • 招待講演
  • [学会発表] ライブ・セル・イメージングがもたらすがん研究の新展開2014

    • 著者名/発表者名
      広田 亨
    • 学会等名
      第11回日本病理学会カンファレンス
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2014-08-01 – 2014-08-02
    • 招待講演
  • [図書] DNA Replication, Recombination and Repair - Molecular Mechanisms and Pathology2015

    • 著者名/発表者名
      Uchida, KSK., Hirota, T.
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      Springer, Ltd.
  • [備考] がん研究会がん研究所 実験病理部 広田亨研究室

    • URL

      http://www.jfcr.or.jp/tci/exppathol/resarch_index.html

  • [備考] がん研究所

    • URL

      http://www.jfcr.or.jp/laboratory/index.html

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公開日: 2016-06-01  

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