研究課題
染色体分離においては、姉妹染色分体を結合するコヒーシンを切断するプロテアーゼであるセパレースが必須の役割を担っている。にもかかわらず、細胞内の酵素量が少ないうえに、酵素活性化の指標を欠いていたために、セパレースが細胞内でどのような制御を受けているのかは不明であった。研究代表者は、先行研究においてセパレースの活性プローブを開発し、セパレースは染色体分離に先立って染色体近傍で急激に活性化することを見出した(Dev Cell 2012)。本研究の目的は、そのセパレース活性化の分子機構を明らかにすることにより、染色体分離の制御特性に迫ることである。平成26年度までの研究で、このセパレースの爆発的な活性化には、セパレースの分子間切断が関連することが分かった。これを足掛かりに、平成26年度は、この分子間切断と既知のセパレース活性化機構 ―セパレースの抑制的リン酸化およびセキュリンの結合― との関連性を検討した。そのために、そのリン酸化修飾を特異的に捉える抗体を作成し、脱リン酸化する(即ち、抑制がはずれる)タイミングを調べたところ、ちょうど後期直前のセパレースの活性化が見られる時期に一致することが分かった。またセキュリンの結合も同様に、セパレースの活性化のタイミングと一致し、セパレースが切断された後はセキュリンと結合しなくなることが分かった。つまり、セパレースの活性化においては、セパレースの切断、脱リン酸化、セキュリンからの解離の三者の反応が相互に関連すると考えられた。
3: やや遅れている
年度の終わり頃に顕微鏡光源の予期しない故障がおこり、安定して顕微鏡解析を行うことができない状況となってしまった。その為に計画した解析が終えることができていない。新規光源を装備次第に実験を再開する予定である。
セパレースの切断、脱リン酸化、セキュリンからの解離の三者の反応について、その因果関係を明らかにすべく、それぞれの反応を阻害する変異体を作成し、活性プローブを用いた生細胞観察による検討を進めていく。
平成26年度に顕微鏡光源の故障という不測の事態が起こり、そのためにライブイメージングを用いた解析を進めることが出来なくなった。活性プローブを使ったイメージング解析は本研究課題の中心的なアプローチであるため、できるだけ早期に修理をして、その関連実験にかかわる経費と次年度に使用する予定とした。
顕微鏡光源の購入に充当する計画である。
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