研究課題
オートファジーは細胞内の蛋白質分解機構の一種で、飢餓時におけるエネルギーの産生や蛋白質凝集塊など細胞内の異物の除去に重要な役割を担っている。オートファジーの基本的な仕組みは既に良く知られており、二重膜構造を持つ隔離膜がまず伸長し、細胞質やオルガネラなどをとり囲み、オートファゴソームが形成する。その後、オートファゴソームはリソソームと融合することにより内容物が消化・分解される。このようにオートファジーは非常にダイナミックな膜輸送過程を伴うことから、膜輸送の制御因子による緻密な制御が想定されるが、オートファジーを制御する膜輸送の制御因子の実体は未だ十分に解明されていない。また近年、膜輸送の普遍的制御因子であるRabのオートファジーへの関与が報告されているが、その詳細な制御機構に関しても不明な点が多い。最近、我々はオートファゴソーム上にOATL1(Rab33不活性化因子)を含む複数のRab不活性化因子がリクルートすることを初めて見出した。本研究課題では、これらのRab不活性化因子群の機能解析を通して、これまで謎に包まれていたRabによるオートファジー制御の分子基盤の解明を目指してきた。本年度は、OATL1がLC3との結合を介してオートファゴソーム上に局在するにも関わらず、オートファジーの基質とはならない(すなわち、分解されない)ことを見出した。免疫電子顕微鏡による観察から、LC3はオートファゴソームの外膜・内膜の両側に均一に分布するが、OATL1はオートファゴソームの外膜のみに局在することが明らかになった。このOATL1のオートファゴソーム膜上での非対称分布が、オートファジーによる分解からの回避に密接に関連するものと考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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