研究課題/領域番号 |
24370079
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広野 雅文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (10212177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞骨格・運動 / 微小管 / 基底小体 / 繊毛 |
研究概要 |
中心子は9本のトリプレット微小管からなる特徴的な構造パターンをもつが、このパターンは真核生物に広く保存されている普遍的なものである。我々は、中心子の形成初期にカートホイールという放射状構造が微小管形成の足場として働き、中心子微小管の本数を9本に決定していることを明らかにした。しかし、同時に、カートホイールが欠失していても微小管数はおよそ9本前後に限定されることから、カートホイール非依存的な9回対称性確立機構も存在することが判明した。 24年度は、カートホイール依存的機構と非依存的機構がそれぞれどの程度9回対称性の確立へ寄与しているのかを検討した。これまでの我々の研究により、1)カートホイールの中央部分はSAS-6によって形作られていること、2)SAS-6は2つの球状の頭部と1本の棒状の尾部からなるダイマーを形成すること、3)カートホイール中央部分では、SAS-6ダイマーが頭部の疎水性結合を介して9回対称に会合した形で配置していること、が明らかになっている。そこで、頭部の会合面のアミノ酸に変異を導入し、in vitroにおいて5ないし7回対称性の会合体しか形成しないSAS-6をbldl2細胞に導入した。しかし、野生型SAS-6の対照実験では複数の発現株が得られたのに対し、この変異SAS-6では発現株が全く得られなかった。さらに、in vitroで30%が7回対称、40%が8回対称、30%が9回対称に会合する変異SAS-6を得て、それをbldl2に発現させたところ、中心子の形成率は増加したものの、形成された中心子構造はbld12と変わらず、9回対称性のものを中心に、7回から11回まで揺らぐことが明らかになった。この結果から、SAS-6およびカートホイールの中心子9回対称性確立への寄与は限定的であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カートホイールの機能がどの程度限定的であるかを調べる必要があると考え、24年度はその解析を中心に行った。そのため、当初の計画にあった、アモルファス環と中心子本体の新規構成蛋白質を同定する試みは始めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、24年度に行う予定であった解析と同時に、当初計画通りのbld10サプレッサーの解析を平行して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画にあった新規蛋白質の同定を行わなかったため、当該助成金が発生した。この計画はbld10サプレッサーの解析と平行して次年度に行うので、全額を次年度に使用する予定である。
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