研究課題
中心子の特徴的な9回対称性パターンは広く真核細胞に共通するものであり、その構築機構の解明は重要である。これまでの我々の研究により、9回対称性の構築にはカートホイールが足場として働くが、同時に、カートホイールに依存しない機構も重要であることが明らかになった。本研究はこのカートホイール非依存的機構の解明を目的としている。25年度は、24年度から継続した実験として、カートホイール依存的機構と非依存的機構の関係を探るため、カートホイールを構成するSAS-6に変異を導入し、中心子構造に対する影響を検討した。その結果、カートホイール非依存的機構は、依存的機構と相互作用しながら中心子の回転対称性を決めていること、さらに、カートホイールの9回対称性の確立にも関与している可能性が明らかになった。このことは、カートホイール非依存的機構の実体を追求する上で大きな手がかりになると考えられる。さらに、上記の解析の過程で、カートホイール非依存的機構を担う可能性のある新たな構造を発見した。中心子を単離する手順を見直し、ダメージの少ない中心子のカートホイールを電子顕微鏡で観察したところ、カートホイールのスポーク先端部分を架橋する構造の存在が明らかになった。この架橋の長さが一定であれば、微小管の数を9本に限定する機能を担うことができる。この構造はカートホイールの一部であると見なすこともできるが、カートホイール自身の9回対称性とは無関係に機能しうる構造である。また、この領域は我々が同定したカートホイールタンパク質のBld10pが構成しているが、以前の実験により、Bld10pの部分欠失変異を発現させると8回対称性の中心子が高頻度形成されることがわかっている。従って、Bld10pがこの架橋構造を構成していると考えると、その欠失変異の影響がよく説明できる。今後はこの可能性を追求する。
3: やや遅れている
カートホイール非依存的機構を担う実体として有力な候補を見出したものの、その検証はこれからであるから。
25年度に見出したカートホイールの架橋構造が、中心子の9回対称性構築に寄与しているかどうか、その構成タンパク質がBld10pであるかどうかを検討する。具体的には、カートホイールの中央部分(9回対称性の部分)を欠失したbld12変異株の中心子にもこの架橋構造がみられるかどうか、部分欠失したBld10pを発現させたときに架橋構造が短くなるのかどうかを調べる。
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