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2014 年度 実績報告書

中心子の9回対称性構造構築におけるカートホイール非依存的機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24370079
研究機関東京大学

研究代表者

広野 雅文  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10212177)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード細胞骨格・運動 / 微小管 / 基底小体 / 繊毛
研究実績の概要

中心子の9回対称性構造は真核生物に広く保存されている普遍的なものだが、その対称性を決定する機構については長く不明であった。我々はこれまでに、中心子の形成初期に、9個のSAS-6ダイマーが会合してカートホイールという9回対称性の放射状構造を形成し、それが微小管形成の足場として働くことで中心子微小管の本数を9本に決定していることを明らかにした。さらに、カートホイールとは別な機構も9回対称性確立に寄与することを明らかにした。本研究課題の目的はその実体を突き止めることである。
25年度までに、5-7回対称性の会合体を作る変異SAS-6をクラミドモナスbld12に発現させ、会合性の変化が中心子9回対称性に及ぼす影響は限定的であること、カートホイールの放射状繊維(スポーク)の先端には架橋構造があって、これがSAS-6の会合性の影響を限定的にしている可能性があることを見出した。
26年度は、このような微小管に近い構造がカートホイール非依存的な機構を担う実体である可能性をさらに追求するため、カートホイール中央部分が欠失しているbld12においてもこの架橋構造が観察されるかを検討した。その結果、中心子微小管に残ったスポーク先端様突起間を架橋する構造が、ある程度の頻度で観察され、この構造がbld12における中心子微小管を9本前後に安定化し、SAS-6の影響を限定的にするという仮説を支持する結果を得た。
また、変異SAS-6と同時に、N末端またはC末端を大きく欠損させたBld10pを発現させて、カートホイールスポークと中心子微小管の結合を弱めたところ、微小管の数は9本前後に、カートホイールは7本前後に分布するようになった。このことから、会合性の影響を限定する要因が中心子微小管そのものにあると推察され、スポーク架橋がカートホイール非依存的機構を担う可能性がさらに支持された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

スポークの架橋構造がカートホイール非依存的機構をになう可能性を支持するいくつかの結果を得たが、決定的証拠はまだ得られていないから。

今後の研究の推進方策

中心子をクライオ電子線トモグラフィー法によって観察し、スポーク架橋の詳細な構造を明らかにするとともに、その構成タンパク質の候補であるBld10タンパク質の分子構造を解明する。

次年度使用額が生じた理由

カートホイール架橋構造の実体を担うと予測されるBld10pの大量調製に予想外の問題が生じたため、その分子構造の解析が遅れている。

次年度使用額の使用計画

Bld10pの大腸菌における大量発現の条件を検討するため、新しいプラスミドベクターの購入、精製用クロマトグラフィーカラムなどの購入にあてる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] FAP20 is an inner junction protein of doublet microtubules essential for both the planar asymmetrical waveform and stability of flagella in Chlamydomonas2014

    • 著者名/発表者名
      Yanagisawa, H.A., Mathis, G., Oda, T., Hirono, M., Richey, E.A., Ishikawa, H., Marshall, W.F., Kikkawa, M., Qin, H.
    • 雑誌名

      Mol. Biol. Cell

      巻: 25 ページ: 1472-1483

    • DOI

      10.1091/mbc.E13-08-0464

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Isolation and characterization of novel high-CO2-requiring mutants of Chlamydomonas reinhardtii2014

    • 著者名/発表者名
      Wang, L., Yamano, T., Kajikawa, M., Hirono, M., Fukuzawa, H.
    • 雑誌名

      Photosynth. Res.

      巻: 121 ページ: 175-184

    • DOI

      10.1007/s11120-014-9983-x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cartwheel assembly2014

    • 著者名/発表者名
      Hirono, M.
    • 雑誌名

      Philos. Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci.

      巻: 369 ページ: 20130458

    • DOI

      10.1098/rstb.2013.0458.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Space-dependent formation of central pair microtubules and their interactions with radial spokes2014

    • 著者名/発表者名
      Nakazawa, Y., Ariyoshi, T., Noga, A., Kamiya, R., and Hirono, M.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e110513

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0110513.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Chlamydomonas, a powerful model organism for studying centriole assembly2014

    • 著者名/発表者名
      Hirono, M.
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜、横浜
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
    • 招待講演
  • [学会発表] 中心子構造の構築におけるカートホイール蛋白質SAS-6の自己会合性の役割2014

    • 著者名/発表者名
      苗加 彰, Michel Steinmetz, Manuel Hilbert, 廣野 雅文
    • 学会等名
      第47回日本原生生物学会大会
    • 発表場所
      宮城教育大学、仙台
    • 年月日
      2014-11-01 – 2014-11-02
  • [学会発表] 鞭毛の構造維持に異常を持つクラミドモナス突然変異株lpp12014

    • 著者名/発表者名
      藤美潮、廣野雅文
    • 学会等名
      第85回日本動物学会大会
    • 発表場所
      東北大学、仙台
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-13
  • [学会発表] 鞭毛中心対微小管の普遍的構成蛋白質Pf32pのゼブラフィッシュにおける機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      阿部耕太、柳澤春明、和田卓巳、小田賢幸、中村拓司、吉川雅英、武田洋幸、廣野雅文
    • 学会等名
      第85回日本動物学会大会
    • 発表場所
      東北大学、仙台
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-13
  • [図書] DOJIN BIOSCIENCE SERIES 原生生物フロンティア2014

    • 著者名/発表者名
      廣野雅文(共著)
    • 総ページ数
      165
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2016-06-01  

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