研究課題
真核生物に広く保存されている中心子の9回対称性構造は、カートホイールという9回対称性の車輪状構造に依存する機構と、カートホイールには依存品機構とが協調して確立されると考えられる。しかし、カートホイール非依存的機構を担う実体はわかっていない。本研究では平成26年度までに、カートホイールの主要構成タンパク質であるSAS-6に人為的変異を導入して、形成されるカートホイールの回転対称性を変化させ、その際の中心子構造の変化を検討した。今年度は、その解析を継続し、定量的な結果を得て論文として発表した(Nature Cell Biology, 18, 393-403, 2016)。その内容の概略は以下の通りである。In vitroの自己集合では6回対称型のカートホイールを形成する性質を持つSAS-6を作製し、クラミドモナスのSAS-6欠失突然変異株細胞に発現させたところ、意外なことに、細胞内で形成された中心子の多くは9回対称であり、そこに含まれるカートホイールも多くが9回対称であった。しかし、カートホイールと周囲の3連微小管との間に介在するBld10pの機能を部分的に抑制したところ、6回対称のカートホイールが形成されることが確認された。これらの結果から、3連微小管自身が9回対称構造に集合する固有の性質をもち、それがカートホイールと相互作用してカートホイールの対称性にも影響することが示唆された。従って、カートホイールと中心子微小管はそれぞれ独立に集合し、それらの間のダイナミックな相互作用により中心子の9回対称性が確立される可能性が考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Nat. Cell Biol.
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