研究実績の概要 |
Notchシグナルは進化上保存された細胞間シグナル伝達経路であり、多様な組織の発生に関わっていることが知られている。特に、高等生物では、Notchリガンド、受容体の種類が増え、組織特異的、発達期特異的など、コンテクスト依存性機能の多様性増大が特徴的であるが、Notchシグナル機能の多様な生理機能とそれを担保する分子機構については、不明な点が多く残されている。 本研究では、1) Notchリガンド機能に焦点をあて、個体組織形成における未解明の生理機能を明らかにするため、脊髄V2神経の発生過程でV2細胞の運命決定に関わるdeltaリガンドの同定を行った。deltaA, deltaC, deltaD, delta4の任意の2つのdelta機能阻害を行い、V2神経運命決定表現型の解析結果、deltaA/Dの組み合わせでV2神経前駆細胞の維持に、deltaA/Cの組み合わせでV2神経細胞のV2a, V2bへの運命決定に関わることが明らかとなった。 2)“Notchリガンド活性”の調節機構の分子基盤を明らかにするため、Delta活性化に必要なモデルの解析を行った。Delta発現細胞表面に結合したNotch2FcのエンドサイトーシスがMib1ノックダウンで低下することを明らかにした。3)in vivoでの遺伝子機能を解析するため、ゼブラフィッシュをモデルとし、新たな機能解析手法として、BNAオリゴによるアンチセンス機能阻害法を確立した。
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