研究課題/領域番号 |
24370082
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
近藤 久雄 九州大学, 医学研究院, 教授 (20205561)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膜融合 / p97ATPase / ユビキチン / ゴルジ体 / 小胞体 |
研究概要 |
小胞体とゴルジ体は、共にその形成維持のためにp97ATPase細胞内膜融合系を必要とする。このp97膜融合系は脱ユビキチン化活性を示すVCIP135を必要とする。VCIP135の機能には大きな多様性があることが想定されるが、現在の所、その基質を含めて全く不明のままである。意外な事に、この程我々は、脱ユビキチン化酵素としての働きとは別に、VCIP135にユビキチン非依存的機能が有ることを示すことが出来た。そこで本研究では、VCIP135の脱ユビキチン化酵素機能に加えて、そのユビキチン非依存的機能の分子機構を解明して、小胞体とゴルジ体の各々におけるp97膜融合系の差異を明らかにすることを目的として研究を行っている。 そこで先ず、抗VCIP135抗体を用いた免疫沈降法により、小胞体膜からVCIP135の新規結合蛋白質p42を得た。さらに、VCIP135の結合蛋白質として先に同定したWACに対する結合蛋白質の探索も進め、Yeast two hybrid法を用いて、p130とp35の二つの蛋白質を得た。これら新規結合蛋白質のcDNAのクローニングを行い、そのリコンビナント蛋白質を大腸菌を用いて産生させた。そのリコンビナント蛋白質を抗原として、現在、これら新規因子に対する抗体を作成している。 加えて、VCIP135の細胞分裂期特異的なリン酸化修飾を同定した。Cdc2 kinaseにより、Threonine-760とSerine-767がリン酸化されていた。リン酸化されたVCIP135では、WACとの結合性や脱ユビキチン化活性は依然として保持されているものの、p97との結合性は失われていた。試験管内ゴルジ体再構成系を用いた検討から、このリン酸化されたVCIP135は膜融合能を持たないと考えられた。従って、この細胞分裂期特異的なVCIP135のリン酸化が、細胞分裂期におけるp97ATPase膜融合経路の阻害機構の一つと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VCIP135-WAC複合体の新規結合タンパク質を幾つか単離同定することに既に成功している。加えて、VCIP135の細胞分裂時特異的なリン酸化修飾を見出し、その生理的意義を明らかに出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に同定した新規因子の機能を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養細胞を用いた検討が必要であり、さらに各種抗体の作成が必要と考えられる。そのために、テクニカルスタッフを雇用して対処したい。また、実験の進展具合から、試薬代やプラスチック代が今年度以上に必要である。
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