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2013 年度 実績報告書

スフィンゴシン1-燐酸輸送体Spns2の哺乳類での機能

研究課題

研究課題/領域番号 24370084
研究機関独立行政法人国立循環器病研究センター

研究代表者

望月 直樹  独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (30311426)

研究分担者 中嶋 洋行  独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (10467657)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード蛋白質 / 遺伝子 / 動物 / トランスポーター / スフィンゴ脂質
研究概要

血管内皮細胞を含めた血管系でのスフィンゴシン1-燐酸(S1P)分泌の意義の解明とS1PトランスポーターSpns2の機能の解明が本研究の目的である。既にloxP/creシステムで組織特異的なCre発現マウスとの交配が可能なconditional ノックアウトマウスの作製が可能な状態にある。まずは、リンパ管特異的に発現するCreマウスとの交配により、リンパ管でのSpns2の免疫系での機能解明に向けた実験を開始した。
昨年度作製したSpns2を発現する細胞を免疫抗原として作製した抗体のvalidationを再度行ったところ内因性のSpns2の発現は免疫染色でもイムノブロットでも感度が十分でなく使用ができないことが判明した。
S1Pが原因となって、T細胞の集積による免疫・炎症反応が病因となる疾患として多発性硬化症がある。とくにマウスでは、experimantal autoimmune encephalomyelitis (EAE)のマウスモデルが病態を反映していると報告されている。したがって、本病態におけるS1PによるTリンパ球の集積機構にSpns2の機能が不可欠であるか?また、Spns2の抑制によるEAEの発症ならびに病態悪化の阻止が可能であるかを検討し始めた。
S1PによるS1P受容体を活性化に依存する転写活性化因子Yap1の核内移行を促進機構が生体のどこで機能するかを調べる研究を行った。Spns2の機能抑制ゼブラフィッシュでの二股心臓となり、これがYap1依存性の転写が抑制されることに起因し、しかもYap1が内胚葉で機能することが重要であることを突き止めた。内胚葉でYap1を結合する優勢劣勢変異体を発現することで内胚葉でのYap1の重要性が確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Spns2の発現部位が脈管系(血管、リンパ管)に限局しているためと考えられる免疫系の異常がノックアウトマウスで観察されることから、さらにそれぞれのvesselでの機能を詳細につきとめることが重要と判断して、研究を遂行している。免疫系の解析は、複雑であり一次リンパ組織、二次リンパ組織でのリンパ球の分布の解析により、如何なるリンパ球の循環システムにSpsn2が貢献しているかが、少しずつわかりつつある。
抗体の作製に関しては、当初予想していたように、細胞外ドメイン、細胞内ドメインが非常に小さく(数アミノ酸)、免疫組織学的検討に使用できるだけの感度のよい抗体を得ることができなかった。この点では、予想はしていたが、達成度が低くなっていると判断した理由である。
一方、多発性硬化症モデルでのSpns2の機能を検討することを開始したが、これは将来的にSpns2の抑制により多発性硬化症の病態改善にもつながることが期待しての実験である。基礎研究にはじまり、臨床研究へと発展できる可能性を秘めた研究となっている点で達成度を上げていると判断した。

今後の研究の推進方策

1.リンパ管での Spns2のノックアウトにより、一次リンパ組織と二次リンパ組織でのリンパ球の解析を行うことにより、Spns2により輸送されたS1Pがabluminal luminalでどのような機能を果たしているのを調べる。
2.EAE model マウスを作製することにより、多発性硬化症でのSpns2のTリンパ球の病巣への集積における機能を解明することなる。具体的には、SPns2 conventional KOにEAEモデルを作製して病態を検討することになる。
3.Spns2による S1Pの輸送が内皮細胞の管腔側、あるいは管腔外側へのいずれかが主たる機能であるかを、Spns2 global KOマウスを用いて、S1Pの局所濃度を調べることで明らかにする(東北大学青木淳賢教授との共同研究)。

次年度の研究費の使用計画

培養細胞数の減少のため、予定していた消耗品の購入にいたらなかった。
次年度、培養実験に使用予定。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Rap1 potentiates endothelial cell junctions by spatially controlling myosin II activity and actin organization.2013

    • 著者名/発表者名
      Ando K, Fukuhara S, Moriya T, Obara Y, Nakahata N, Mochizuki N.
    • 雑誌名

      J Cell Biolo.

      巻: 202 ページ: 901-916

    • DOI

      10.1083/jcb.201301115. Epub 2013 Sep 9.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vascular endothelial adrenomedullin-RAMP2 system is essential for vascular integrity and organ homeostasis2013

    • 著者名/発表者名
      Koyama T, Ochoa-Callejero L, Sakurai T, Kamiyoshi A, Ichikawa-Shindo Y, Iinuma N, Arai T, Yoshizawa T, Iesato Y, Lei Y, Uetake R, Okimura A, Yamauchi A, Tanaka M, Igarashi K, Toriyama Y, Kawate H, Adams RH, Kawakami H, Mochizuki N, Martínez A, Shindo T.
    • 雑誌名

      Circulation

      巻: 127 ページ: 842-853

    • DOI

      10.1161/CIRCULATIONAHA.112.000756. Epub 2013 Jan 25.

    • 査読あり
  • [学会発表] 血管形成ダイナミクスの生体イメージング

    • 著者名/発表者名
      福原 茂朋、望月 直樹
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 招待講演
  • [学会発表] ゼブラフィッシュの蛍光イメージング解析による血管形成メカニズムの解明

    • 著者名/発表者名
      福原 茂朋、望月 直樹
    • 学会等名
      第21回日本血管生物医学会
    • 発表場所
      千里阪急ホテル
    • 招待講演
  • [産業財産権] 心筋細胞増殖誘導剤及びこれを含有する心筋梗塞治療用医薬組成物、並びに心筋細胞の製造方法2013

    • 発明者名
      望月直樹
    • 権利者名
      独立行政法人 国立循環器病研究センター、他
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2013-198591
    • 出願年月日
      2013-09-25

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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