研究課題
S1P 輸送体Spns2の血管内皮細胞特異的なノックアウトマウスの解析を行った。グローバルノックアウトと同様に、流血中のTリンパ球とBリンパ球の減少を認め、一次リンパ器官である胸腺でのTリンパ球の蓄積と骨髄での成熟Bリンパ球の減少を認めたことから、一次リンパ器官からのの血中への移動の障害が示唆された。すわわち、一次リンパ器官に分布する血管内皮細胞に発現するSpns2が組織内のリンパ球を全身循環系に導く機能を有していることが明らかになった。二次リンパ器官におけるTリンパ球の減少のみならず成熟Bリンパ球の減少も一次リンパ器官からの全身循環へのリンパ球の移行の障害に起因すると考えて矛盾のない結果となった。グローバルノックアウトマウスで認められた目蓋の閉鎖は、血管内皮細胞特異的なノックアウトでは認めなかったことから、目蓋閉鎖のメカニズムについては内皮細胞でのSpsn2の機能に依存しないことが示唆された。眼瞼予定線を観察するとSpns2のグローバルノックアウトでは結合組織で結合してしまった状態であるのに、野生型並びに血管内皮細胞特異的Spsn2欠損マウスでは比較的柔軟な組織となっており(細胞塊の判定は未解決)、眼瞼予定線の解離を促進させる細胞移動をスフィンゴシン1-燐酸が担っていることが強く示唆された。眼瞼の閉鎖により、角膜潰瘍が生じている可能性もあり、眼裂形成機構にスフィンゴシン1-燐酸が必須であることがわかった。今後、Spsn2発現細胞とともに眼裂形成のために移動する細胞群の同定が重要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Developmental Cell
巻: 31 ページ: 128-136
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Science Signaling
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