T 細胞に提示される抗原ペプチドの切り出しを行うPSMB8の遺伝子は、有顎脊椎動物のクラスI遺伝子に隣接してMHC領域内に存在する。これまでにPSMB8 遺伝子は数億年にわたって二型を保持する興味深い進化をしてきたことが示されており、ここでは二型進化過程の全貌解明を目指した。上位条鰭類、両生類、は虫類に属する10種類以上を解析した結果、これらの動物は下位条鰭類において数億年間維持されている二型の一方を失った後、もう一方から二型を復活させているように見えた。いったん二型が喪失することを想定する説明は強い平衡選択の存在と矛盾しており、二型決定部位以外で配列の均一化する特異な進化が強く示唆された。
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