研究課題
平成25年度までに、テナガザル科4属で、急速な増幅を遂げた反復配列の候補として5つの反復配列を同定し、そのうちのアルファサテライトDNAについて詳しい解析を行っていた。アルファサテライトDNAは、霊長類のセントロメアを構成するDNA成分として以前から知られているが、本課題で対象としたものは、高次構造をもつアルファサテライトDNAである。高次構造の起源が少なくともヒト上科の共通祖先にまで遡るとの結果を得て、論文として発表していた (DNA Research 2014)。上記の結果から、アルファサテライトDNAの高次構造はヒト上科に限定されることなく、霊長類全般に存在することが、強く示唆された。この推察が正しいとすればそれを証明することは、セントロメア反復配列の増減の機構、およびセントロメアの機能との関連で意義がある。このため、本課題の当初の対象はヒト上科であったが、平成26年度は、これを霊長類全般に広げて高次構造の探索を行った。対象として加えた種は、マーモセットとヨザルである。いずれも広鼻下目(新世界ザルとよばれる種のグループ)に属する。ヒト上科が含まれる狭鼻下目とは、下目のレベルで別の系統群となる。真猿亜目は、この2つの下目で構成される。前年度までのヒト上科の解析では、独自の塩基配列決定法を開発し、それを利用して結果を出していた。今年度はこの方法をさらに改良して、その後に解析に臨んだ。長くて正確な塩基配列を得て、それぞれ12こおよび9この基本単位がプロックとなって繰り返しているという結果を得た。広鼻下目のアルファサテライトDNAに高次構造があることを示す明確な証拠となった。この結果は、霊長類全般、少なくとも真猿亜目では、高次構造の存在は共通する現象であることを意味する。論文にまとめて、受理に至っている(Scientific Reports 2015予定)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 未定 ページ: 未定
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