反復配列(同じまたは類似の遺伝情報の繰り返し)はゲノム中に大量に存在する。進化の途上で、その構成には大きな変化が起こっていることが推測される。本課題は、ヒト上科(ヒトおよび類人猿)を対象として、構成の変化の具体的な様相を明らかにすることを目的とした。主要な結果および意義は、つぎの3点である。テナガザルで、アルファサテライトDNA(セントロメアの主要成分)が別の反復配列で置換されている。新規のトランスポゾン(動く遺伝因子)が形成されてそれが大量に増幅することが、ヒト上科であり得る。アルファサテライトDNAにみられる高次構造の進化的起源は、従来考えられていた時期を大きく遡る。
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