研究課題
基盤研究(B)
【試料収集】琉球諸島(沖縄本島、先島諸島)および北部九州のヒト試料(唾液)収集は順調に進んだ。アンケートにもとづく出身地調査の結果から原則的にそれぞれの地域に3先代前から在住している人を対象とし、DNAGenoTek社のDNA採集キットOrageneおよび嫌気環境を維持しバクテリアの増殖を抑える森田法により採取した。琉球諸島の健常者唾液試料採取は、琉球大・石田(連携)と琉球大・木村(分担)により実施された。北部九州での健常者試料採取は佐賀大・副島(連携)と北里大・太田(代表)によって実施された。北部九州のIBD患者試料採取は、福岡大・竹山(連携)により、琉球諸島のIBD患者試料採取は、琉球大・知念(連携)により実施された。唾液試料は集まり次第、北里大学へ宅急便(冷凍)で輸送し、DNA抽出作業を行った。【実験データ収集】DNAチップ(Illumina OmniExpress)により70万SNPのタイピングを北部九州(n=168)、宮古島(n=60)、石垣島(n=60)について行った。これは琉球大・木村(分担)によって実施される。【データ解析】得られたゲノムワイドSNPデータにもとづく分集団構造解析およびin silicoでの統計解析を行なった。二重構造モデルを検証する統計解析は、琉球大・佐藤(協力)と、統数研・間野(分担)の指導のもと統数研・中込(連携)とによって実施された。【結果】(1)琉球諸島民とアイヌ民族との遺伝的つながりが明らかになった(査読付き国際誌に発表|Jinam et a.2012;Koganebuchi et al.2012)。(2)琉球諸島と北部九州におけるクローン病の遺伝と環境の相互作用が明らかになった(第66回日本人類学会大会にて発表|中込ら、2012)。そして(3)ゲノムワイドSNPデータから琉球列島の人々の集団構造が明らかになった(第66回日本人類学会大会にて発表|佐藤ら、2012)。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した「研究の目的」はおおむね順調に進み、予定通りの成果が得られてきている。
琉球列島の人々の集団構造が明らかになってきた。これと北部九州との関係を調査し、日本列島全体での集団構造を統計学解析を取り入れより明白にする。また、。炎症性腸疾患(IBD)の遺伝要因と環境要因が明らかになってきたので、試料収集を強化しさらに分析を進める。
予定していたゲノム網羅的SNPタイピングについて、分析対象とした試料の数が予定していた数よりも少なかったため、この額が生じた。次年度は新たな試料を追加し、昨年度に対象としなかった試料も分析を行う。
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.med.kitasato-u.ac.jp/~anatomy-anthropology/oota_lab/index.php