研究課題
本研究は生理人類学的視点により生理的多型性を表現するための手段としてヒトとモノとの触覚を通したインタフェースを整理・統合し,その表現型を構築するという目的のもと,研究を進めてきた.本年度はこれまで得られてきた種々の成果とその相互関係を明確にするため,触覚研究の中でも特に人間工学的側面である触覚を用いたインタラクションに関する技術や方法論に焦点を当てて,ISO/TC159/SC4によるISO9241-910規格の中で定義されている,「いつ触覚/力覚インタラクションを使用するべきか」において記されているインタラクションの場面の中から,最近の研究の動向について調査を行った.また,触感提示技術の本課題で得られた成果の統合と,その具現化をめざし,2種類のインタフェースを対象として開発評価を行った.第1の対象として,フリック動作を用いた文字入力を応用した触覚文字情報呈示手法の効果について検証を行った.フリックによる文字入力動作はスマートフォンの普及に伴い,認識効率の高い手法の可能性があると考え,本技術を実装した触覚ディスプレイ装置を用いて評価を行った.その結果,本手法による正答率は42%となり,今後提案手法で有効な文字情報呈示を検討する意義があると示唆された.また,第2の対象として,温冷感を付加した触感インタフェースのヒトに与える効果を調査するため,温度刺激を呈示した際の心電図を計測し,温度刺激により引き起こされる情動に伴う自律神経系の変動を観察することを目的とする実験を行った.その結果,生体情報としては,温度刺激を知覚した場合のみ,知覚後にRRIが減少することがわかった.知覚前後10秒間のRRIの平均値を算出し,統計処理を行った結果,温度差が+10[℃]の時に有意にRRIは知覚後に減少を示していることがわかった.このことから,交感神経が有意に賦活していると考えられた.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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