研究課題/領域番号 |
24380002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西尾 剛 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30301039)
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研究分担者 |
北柴 大泰 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80431542)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 種間交雑 / 生殖的隔離 / 不和合性 / 胚発達 / アブラナ |
研究概要 |
Brassica rapaの柱頭のBrassica oleracea花粉に対する種間不和合性のQTLの領域を絞り込むため、第2染色体のKBrSOO3M22とKBrBO86G22の間の35Mbの領域に20~300kb間隔で14のSNPマーカーを作成した。種間不和合性QTLの効果を確認するため、KBrSOO3M22-KBrBO86G22領域が1回親(はるさかりPO4型)でその他が反復親型の系統を作成中で、今年度は2回戻し交雑してBC_4F_1世代を得た。 Brassicarapaとダイコンの属間交雑における雑種形成能のQTL解析の反復試験のため、2010年に雑種形成能評価を行ったF2個体のSNPマーカーの遺伝子型分析とQTL解析を行った。これまで、第1、第3、第10連鎖群にQTLを検出していたが、その内の第1と第10連鎖群のQTLを再度検出した。第1と第10連鎖群のQTLはシロイヌナズナで胚発生に関与することが知られているFIEとMSI1が座乗するシロイヌナズナゲノム領域とシンテニーがあるため、B.rapaのオルソログ遺伝子BrFIEaおよびBrMSI1aを単離し、F_2の両親間で塩基配列を比較したところ、聖護院カブはBrFIEa遺伝子に、チーフハクサイはBrMSI1a遺伝子にそれぞれフレームシフト変異を持つことを見出した。これらの遺伝子を正常型ホモで持つ個体は、両方が変異型ホモの個体よりもダイコンの属間交雑で有意に多数の雑種種子を形成することが分かった。以上の研究を原著論文として公表した。B.rapaの15系統のこれら遺伝子の遺伝子型を分析し、属間交雑での雑種種子形成能を調査したところ、遺伝子型によって雑種種子形成能に差があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
雑種種子形成能の遺伝子分析においては、候補遺伝子を見出し、その変異を同定し、多数系統を用いてアソーシエーションも見出すなど、当初計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
種間不和合性遺伝子の解析においては、BC4F1世代を自殖してQTL領域のみを1回親の遺伝子型をホモで持つ系統を作出して、種間不和合性に対する影響を評価する。種間不和合性強度に有意差が見られれば、作成したSNPマーカーを用いて組換え型を選抜し、ゲノム領域を絞り込む。雑種種子形成能(雑種胚崩壊性)については、候補遺伝子が変異型ホモの個体に正常型遺伝子を形質転換法で導入して、雑種種子形成能への効果を検証するとともに、これら遺伝子によって制御される遺伝子の発現に対する遺伝子型の効果を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた種間不和合性QTL領域の絞り込みのための特性評価を、材料作出に時間を要して次年度に実施することにしたため生じたものであり、延期した本研究に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。
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