研究概要 |
これまでの解析からpla変異体では植物ホルモンであるジベレリンに対しての反応性が低下していることが明らかとなった。生理学的な解析から、PLA遺伝子の作用はジベレリンの情報伝達経路の下流に位置すると考えられた。このことを遺伝学的に実証する為の材料作りを行ない、複数のジベレリン関連変異体との交配を行い、F1種子を得た。 PLA変異体と逆の表現型を示す変異体(o-707)の詳細な表現型解析と原因遺伝子の単離を行ない、葉間期の延長と葉の伸長は、これまで認識されていなかった既知の植物ホルモンの新しい効果によるものであることが明らかとなった。また、PLA遺伝子との関係を明らかにする為に二重変異体の作出を行なった。 PLA2遺伝子はRNA結合タンパクをコードすることから、何らかのRNAに結合し下流の遺伝子発現制御に関わっていると考えられる。昨年度Hisタグを付加したPLA2をpla2変異体に導入し、表現型を相補した植物体を得た。今後この材料を使って、結合RNAの探索を行なう予定である。 これまで葉間期制御に関わる遺伝子はPLAl,PLA2,PLA3以外にSPL遺伝子が知られている。昨年度はイネのSPL遺伝子を同定すると共に、今後のPLA遺伝子とSPL遺伝子の関係を明らかにする為の材料作りを行なった。次年度はpla変異体、PLA過剰発現体の背景でのSPL遺伝子の発現変動などを観察する予定である。 plal変異体と野生型の茎頂部を用いてメタボローム解析を行った。両者で有意に蓄積量の異なるメタボライトがいくつか検出されたが、これまでのところPLA1の基質や代謝物との関わりが疑われる物質は検出できなかった。 野生型の葉のマイクロアレイ解析によって、イネの葉の様々なステージ、部位で特異的に発現する遺伝子のリストを入手した。これによって、今後のPLA遺伝子の発現改変に用いる為の基盤情報を手に入れた。
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