研究課題
今年度,サイトスペシフィックに乳白粒発生の要因を明らかにするため,白濁推定部位である玄米内側,および透明化した外側の組織をそれぞれ採取し,短期の高温乾燥風による澱粉合成および糖代謝・糖輸送に関わる酵素遺伝子の発現を経時的に解析した.白濁部位である玄米内側の組織では,48時間高温乾燥風の処理期間中,一時的な水分状態低下が起き,これに呼応する形で解析を行った澱粉合成に関わる大半の遺伝子発現は24時間目までにダウンレギュレートされ,48時間目まで低く推移し,処理終了後4時間以内に回復し,翌日には対照区レベルまで完全に回復した.以上のサイトスペシフィックな遺伝子発現解析から,高温乾燥風下では,活発に澱粉集積が起こっている内側の細胞層において,リング状の白濁形成に先立って,澱粉合成が一時的に抑制されている可能性が示唆された.一方,長期の高温によって発生した乳白粒においてα-アミラーゼの発現が増大しており,既往の成果に一致する傾向が確認されたことから,長期の高温と短期の高温乾燥風とでは白濁に至る機作が異なる可能性も示唆された.以上の結果を要約すると,短期の高温乾燥風処理に伴う水ストレス条件下の胚乳細胞で浸透調節が起こると同時に,澱粉合成に関わる大部分の遺伝子発現が一時的に低下することにより,その後白濁リング形成に至ることが強く示唆された.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS ONE
巻: 9(10) ページ: e110374
doi:10.1371/journal.pone.0110374
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0110374