研究課題/領域番号 |
24380016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大黒 俊哉 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70354024)
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研究分担者 |
山田 晋 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30450282)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 自然再生 / 半自然草地 / 生態系サービス |
研究実績の概要 |
1.草原性植物の種特性の実験的解明:生態調和農学機構・西東京フィールド敷地内に平成24年度に造成した「草地再生実験区」において、引き続きターゲット種の栽培実験を実施した。本年度は、叢生型Matrix-forming(MF)種であるススキを優占種とする実験区において、草原性植物の生育に最も影響を及ぼす撹乱要因として刈り取り処理を加えた実験を実施し、MF種優占群落及びターゲット種の再成長パターンを観測した。その結果、刈り取り撹乱の影響の程度は、ターゲット種の機能特性によって類型化できることがわかった。以上の結果に基づき、草地復元における導入手法および管理指針を類型ごとに整理した。 2:半自然草地の生態系サービスの実験的解明:平成24年度に造成した「農村モザイク再現実験区」において、前年度と同様の実験を継続した。その結果、前年度までの結果と同様に、ゴミムシ類の個体数および雑草種子採食量は、周辺土地利用および管理条件によって異なり、とくに農地周縁部草地の管理程度(刈り取り高および頻度)の影響が大きいこと、モデル作物の種類(トウモロコシ、ダイズ)の影響は小さいことがわかった。 3.半自然草地再生データベースの構築:前年度に引き続き、1,2で得られた結果を、平成24年度に作成した入力フォーマットに順次入力し、データベースの構築を進めるとともに、大量データを容易に入力・検索・閲覧できるWebアプリケーションプロトタイプの改良を行った。さらに、1によって得られたターゲット種の機能特性に関する情報と、2によって得られた半自然草地の雑草制御サービスに関する情報を関連づけ、上記の導入・管理指針に基づいて復元される半自然草地がどの程度の生態系(雑草制御)サービスを発現するかを推定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の実施に不可欠な大規模野外実験施設において、附属施設である生態調和農学機構との協力体制が維持されており、平成24年度および25年度は、野外実験を円滑に遂行することができた。しかしながら本年度は、6月に発生した豪雨による冠水と病虫害発生により、一部の実験区での試験継続が困難となったため、急遽予定を変更し、土壌改良および実験区の再造成を行った。そのため、当初予定していた計画のうち、匍匐型Matrix-forming(MF)種であるチガヤを優占種とする実験区での野外実験および同実験結果に基づくデータベースの作成を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の申請時に「天候等の影響により当初計画通りに進まない時の対応」として記載していた方針に基づき、補助事業期間を1年延長し、チガヤ優占群落における半自然草地構成種との混植実験および、その結果に基づく半自然草地再生データベース作成を平成27年度に実施する。以上により、データベースを完成させるとともに、最終的な研究取りまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、チガヤをマトリクス形成種として造成した人工草地群落において、半自然構成種との混植実験を行い、その結果に基づき半自然草地再生データベースを作成する予定であったが、豪雨に伴う冠水と病虫害発生によりチガヤの生育不良が生じ、混植実験の継続が困難になったため、急遽予定を変更し、土壌改良およびチガヤ優占群落の再造成を行った。そのため、同データベース作成に至らず、未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
補助事業期間を1年間延長し、チガヤ優占群落における半自然草地構成種との混植実験および、その結果に基づく半自然草地再生データベース作成を平成27年度に実施することとし、未使用額はその経費、すなわち、混植実験にかかる物品費(波板、支柱等の消耗品)・人件費・謝金および、データベース作成にかかる人件費・謝金等に使用する。
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