研究概要 |
本研究の目的は,ブルーベリーのオフシーズンの連続生産体系を確立するため,秋季開花・結実誘導によるオフシーズン連続生産のメカニズム解明とその栽培法の提案を行うことである.そこで,平成24年度は,秋季開花性および長期取り性(連続生産性)を具備する品種の特性,新梢の頂芽と腋芽を連続して開花・結実させる環境条件を明らかにした.まず,休眠前に高温・長日処理したブルーベリー3種9品種の開花時期,収穫時期,新梢成長などの生態を調査したところ,休眠が深い'Weymouth','Bluecrop'および'Spartan'では6月に開花し,8~9月に成熟した.また,'Magnolia','Tifblue','Homebell'および'Gloria'では2~3月に開花した.一方,休眠が浅く常緑性の'Emerald'では12月から,'Sharpblue'は翌年2月から果実が成熟し,その後も新梢の先端から基部に向かって連続的な開花と結実が生じ,これらの収穫は翌年の7月まで続いたことから,休眠の浅い品種では休眠前の高温・長日処理によって,オフシーズンに開花・結実すること,開花・結実が連続して生じ,収穫期間が長くなることが明らかとなった.また,秋季から春季の高温・長日条件下で開花・結実し,長期取りが可能な特性は,収穫後に高温下で徒長枝先端の芽が開花する性質に加えて,新梢の葉が落葉せず光合成を長期にできる性質と休眠が浅い性質などが複合的に関与していると推察された.さらに,連続開花性を示した品種には収穫期間に長短があったので,収穫期を長期化させるためには,多くの1年生枝に開花を誘導することが必要である.そこで10月に開花が認められた4品種の開花習性と収穫期間を比較し,次いで,1年生枝の開花誘導に短日処理は有効か否かを検討した.その結果,収穫期を長期化するためには1年生枝に開花結実させることが必要であるが,この誘導には4月からの短日が有効であることが分かった.さらに,1年生枝に着果した果実は大果であることが示された.
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