研究課題
本研究の目的は,ブルーベリーのオフシーズンの連続生産体系を確立するため,秋季開花・結実誘導によるオフシーズン連続生産のメカニズム解明とその栽培法の提案を行うことである.平成25年度は,24年度に引き続いて秋季開花性および長期取り性(連続生産性)を具備する品種の特性,新梢の頂芽と腋芽を連続して開花・結実させる環境条件について明らかにした.連続生産性に品種間差がみられたので,その要因を明らかにするためにブルーベリー5品種の花芽形成時期の早晩を調査したところ,連続生産性を示す‘Emerald’および‘Sharpblue’は,他の3品種と比較して花芽の発育が早期から開始することが分かった.さらに,連続開花性を示した品種で収穫期を長期化させるためには,多くの1年生枝に開花を誘導することが必要であるため,10月に開花が認められた4品種の開花習性と収穫期間を比較し,次いで,1年生枝の開花誘導に短日処理は有効か否かを検討した結果,短日処理は1年生枝の開花誘導に効果的で,短日の効果は,両品種で処理開始から1ヶ月後に顕著に現われ,開始後 2ヶ月目まで継続した.したがって短日処理は1年生枝への連続的な開花結実の誘導を促進し,さらなる収穫期の延長および収量増加が可能であると示唆された.また,単色光による開花の誘導が可能であるか否かを調査するため,波長の異なるLED光源を照射し,生殖成長および栄養成長に関して調査を行ったところ,LEDを用いた赤色光照射を行うことで開花を誘導できることが明らかになり,人工光型栽培室での周年生産における栽培に利用することで効率的な果実生産が可能となることが示唆された.また,青色光は徒長枝の抑制などの観点から,収穫後の剪定などの労力を減少させる場合に利用できると考えられた.
2: おおむね順調に進展している
学術雑誌(2報うち査読有2報),学会発表・招待講演(3件),図書(3件),特許(1件)などを成果として公表している.具体的には,開花性および長期取り性(連続生産性)を具備する品種の特性を明らかにし,学術雑誌などで公表している.また,秋季開花を誘導する花芽の分化時期と発育課程の観察を行い,秋季開花する品種の花芽分化の特性を明らかにした(未発表).さらに,新梢頂芽と腋芽を連続して開花・結実させる環境条件の検討を行い,学会発表などで公表している.
平成25年度は,秋季開花性および長期取り性(連続生産性)を具備する品種の特性,新梢の頂芽と腋芽を連続して開花・結実させる環境条件とを明らかにしたが,長期取りによって樹性が低下する傾向がみられてきたので,平成26年度は樹性を回復させるための環境条件についても明らかにする予定である.また花芽の発育が早くから生じる品種の育成および連続開花現象に関わる遺伝子の解明についても明らかにする予定である.
研究員を一年間雇用するための予算を計上していたが,9カ月間雇用後に研究を退いたため,人件費が余った.企業から栽培資材,肥料などの寄付があったため,物品費が余った.人件費はポスドクをアルバイトとして雇用し研究を推進する.物品費はブルーベリー土,ブルーベリー苗,灌水装置,タイマーなどの栽培資材などを購入し,さらには植物工場使用料等に使用する.旅費は国際園芸学会(ブリスベン)で発表するので,それに充てる.
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Experimental and Toxicologic Pathology
巻: In Press ページ: In Press
10.1016/j.etp.2014.02.002
園芸学研究
巻: 3 ページ: 281-288