研究課題
平成26年度は「ブドウ培養細胞のマルチオミクス」と「ブドウ培養細胞への有用遺伝子の形質転換」の二つの実験を計画した.後者は,上手く実験系を立ち上げることができず,成果を上げることができなかったが,前者において大きな成果(以下)を上げた.ブドウ培養細胞(VWとVR)へ,光照射(VRにアントシアンが高蓄積する条件)あるいはエリシター+ジャスモン酸処理(VWがレスベラトロールを高蓄積する条件)を行い,それら試料から「可溶性タンパク質」と「膜タンパク質」を調製してプロテオミクスを実施しるとともに,メタボロミクスを実施した.その結果,プロテオミクスにおいては合計1,680種類のタンパク質が,メタボロミクスにおいては合計793種類の代謝産物ピークを見出した.代謝マップ描画ウェブツール「KaPPA-View 4 KEGG」のブドウ版が更新されていなかったため,京都大学およびかずさDNA研究所と共にシステムを更新し,プロテオームデータとメタボロームデータを反映した代謝マップを作成した.その結果,VR光照射区とWWエリシター+ジャスモン酸処理において,それぞれアントシアニン代謝系とレスベラトロール代謝系が特異的に誘導されていることが明確に示された.新奇アントシアニン輸送体とレスベラトロール輸送体の探索を目指して「膜タンパク質」のプロテオミクスを行った結果,“transport”のアノテーションを持つものが121種類存在した.これらの中に,既知のアントシアニン輸送体が複数個同定されていたことから,プロテオミクスによる二次代謝産物輸送体探索の有効性が示された.機能未同定のABC輸送体とMATEは既知の輸送体との分子系統解析によって,未知タンパク質については膜貫通領域の数の推定から輸送体である可能性を判断し,複数のアントシアニン輸送体とレスベラトロール輸送体の候補を見出すことに成功した.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
Plant Physiology
巻: - ページ: in press
10.1104/pp.114.254375
Advances in Horticultural Science
巻: 28 ページ: 53-63
Scientia Horticulturae
巻: 176 ページ: 255-260
10.1016/j.scienta.2014.07.019
J. Hortic. Sci. Biotech.
巻: 89 ページ: 293-300