研究課題/領域番号 |
24380020
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森 仁志 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20220014)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | エチレン / ACC合成酵素 / 脱リン酸化 / ホスファターゼ |
研究概要 |
エチレンは果実の成熟、野菜・花卉の鮮度保存など園芸作物に大きな影響を与える。エチレン生合成経路の鍵となるACC合成酵素は、リン酸化によって安定化され、脱リン酸化によって不安定化(分解)される。本研究では、ACC合成酵素のリン酸化・脱リン酸化を介した翻訳後制御機構を解析することによって、エチレン生成調節機構を明らかにする。ACC合成酵素の脱リン酸化に関わると推測されているProtein Phosphatase 2A (PP2A)は、3つのサブユニットA、 B、 Cから成り、それぞれが複数の遺伝子群から構成され、構成サブユニットの組合せにより多種多様なPP2Aが存在する。シロイヌナズナには16種のBサブユニット遺伝子が存在する。エチレンを過剰生成するシロイヌナズナの突然変異体rcn1は、PP2Aの1つのAサブユニット(RNC1)を欠失している。PP2Aに特異的な阻害剤ミクロシスチン-LRをリガンドにしたアフィニティカラムを用いて、野生型と突然変異体rcn1からPP2Aをそれぞれ単離した。Bサブユニットが基質認識に関わっており、ACC合成酵素を脱リン酸するPP2Aの同定を試みた結果、iTRAQ法により質量分析計を用いて、ACC合成酵素を認識するBサブユニットとしてB"タイプを候補として同定した。この選抜されたB"タイプとACC合成酵素の結合を、酵母のtwo-hybrid systemで検討したが、同定できなかった。再度、条件を変えて質量分析計で解析したが、B”サブユニットの同定は再現しなかった。ミクロシスチン-LRをリガンドにしたアフィニティカラムを用いて解析してきたが、Aサブユニットを基にPP2Aを単離して解析する計画を立てた。Aサブユニットには3種類あるので、それぞれ異なるtagを、Aサブユニットに付けた遺伝子を導入したシロイヌナズナを作出し、次の同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り計画に従って研究は行っているが、単離されたPP2AのBサブユニットはtwo-hybrid systemでは予想通りの成果にならず、同定されなかった。そこで異なるtagを3種類のAサブユニットに付けた遺伝子を導入したシロイヌナズナを作出したが、PP2A単離ための試料(種子)の調製に時間がかかっているので、まだ結果は出ていない。
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今後の研究の推進方策 |
新たなシロイヌナズナ形質転換体を用いてPP2AのBサブユニットを単離する。同時にシロイヌナズナのRCN1のホモログのトマト遺伝子に変異の入っているトマトを用いて同じ解析を行う。さらに単離したPP2Aをこれまでと異なる高感度のLC-MS質量分析計を用いて解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は23,540円であり、実支出額で年度内の研究に問題なく執行できた。次年度に継続されるため、年度内に23,540円を消費する必要は考えられなかった。 次年度使用額23,540円を加算して、今年度の研究を行うことに特別の計画を立てるほどの金額ではなく、問題はなく執行できる。
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