研究課題/領域番号 |
24380021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
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研究分担者 |
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
吉野 章 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80240331)
三好 岩生 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (40240949)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 里山ランドスケープ / 地域資源循環システム / 在地リスク回避 |
研究概要 |
研究対象地として、丹後半島(京都府)、若狭湾沿岸(福井県)、琵琶湖西岸(滋賀県)の森-里-海(湖)をユニットとした伝統的な里山ランドスケープを設定した。それぞれの里山ランドスケープにおける資源利用にみられる伝統知識、技術とその変容を聞き取り調査および資料収集を行った。伝統的民家としては、若狭湾沿岸の福井県おおい町名田庄納田終地区を事例として調査を行い、農山村集落の茅葺屋根維持に関する持続可能性を検討した。また、都市農村交流事業における茅葺民家の活用として、福井県おおい町名田庄・集楽庵の事例を分析した。さらに、都市近郊で里山ランドスケープに関わる市民グループ・NPOについて、活動概況、果たしている機能を整理するとともに、里山とのふれあいを求める人々に関する社会経済的分析のためにアンケート調査を行った。丹後半島の里山ランドスケープでは、森林、農地、河川などの主要構成要素について、土地利用の変化の分析、現存植生の量的・質的な把握を行うための植生調査、林分構造および聞き取り調査を行った。その中で特に丹後半島山間部に特徴的な湧水が農業のみならず、希少種の分布や生物多様性の保全において重要な役割を果たしていることが明らかになり、生態系サービスという観点からの意義が示された。丹後半島にいて近年の自然災害を事例として、災害発生時に必要な情報の種類と、その伝達経路について、住民と行政機関への聞き取り調査を行った。アンケート調査の結果と組み合わせることにより、被災経験よりも自然環境接触度の方が防災意識に大きく影響する傾向がみられた。現状では被災経験から得られた情報や災害伝承が災害対策に十分に活かされておらず、被災経験や災害伝承を有効な形で整理・記録し今後に活かしていくことが課題であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づいて、研究者それぞれが対象地を選定し、調査を開始するとともに、得られたデータや資料に基づく分析を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
地域資源の分布、林分構造などを把握するためのさらなる現地調査を行い、空間特性の分析、生態機能の定量的な分析を行うとともに、地域ごとの伝統的な知識や技術をふまえた上で、里山ランドスケープに関わる文化や機能を現代に活かすためのニーズをアンケート調査等により把握する。また、災害等の非常時を想定した資源管理に関する経験的な知見を聞き取り調査や地形解析を行い、さらに地域の生態学的特性や水文学的特性等に関する調査・解析を行うことにより、得られた情報の根拠やメカニズムを検証した上で科学的な情報として再構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年の調査結果をふまえ、3地域における里山ランドスケープの地域資源利用、生態機能、リスク回避などについての現地調査や聞き取り調査、アンケート調査を進め、得られたデータの解析を行う。また、成果の取りまとめに向けて国内外の関連事例からの情報収集やヒアリングを行うとともに、関連学会に参加し、成果の発表を順次行っていく。
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