研究課題
果実の成熟制御機構解明は、貯蔵・流通技術の開発・改善の鍵であるとともに、園芸生理研究の焦点の一つである。トマトは果実のモデル作物と位置づけられ、国際共同による全ゲノム解析、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)による変異体集団や完全長cDNAの整備と配布、TILLING法やアレイ解析も進んでいる。筆者らは、トマトDNAアレイを用いて10000個以上の遺伝子の発現を網羅的に解析し、418個の成熟関連因子を抽出した。これらの成熟関連遺伝子の発現様相の再確認を行うとともに、機能別の分類を行い、果実の成熟現象に特徴的な呼吸および志望代謝の増大,エチレンとABAの蓄積、細胞壁分解、光合成機能の喪失などに関与する遺伝子群を特定した。さらに、それらの制御の鍵因子候補として8個の転写因子を特定し。その中で,GRAS転写因子についてはRNAiコンストラクトによる形質転換体の作成に成功した。さらに、細胞壁分解遺伝子としてPG(Polygalacturonase)、PL(Pectate-lyase)遺伝子を同時に抑制する形質転換体作成にも成功した。GRAS転写因子形質転換体の第2世代、PG,PL形質転換体第1世代について表現型を解析し、GRAS因子の抑制に伴って、特定の成熟関連遺伝子の発現が減少することを明らかにした。PG,PL形質転換体についても表現型解析を進めた.さらに、トマト果実との比較においてキウイフルーツ果実の成熟解析にも着手し,エチレン非依存性低温誘導成熟現象を見いだした。トマトとキウイフルーツの果実成熟に関するトランスクリプトーム解析を比較検討すると、類似の成熟関連遺伝子および転写因子が活性化されることが明らかになった。特に、両果実の成熟制御においてGRASおよびMADS遺伝子が鍵因子として働いていることが明らかになった
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Horticultural Journal
巻: 85 ページ: 76-85
doi: 10.2503/hortj.MI-066