研究課題/領域番号 |
24380025
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 税 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60281854)
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研究分担者 |
竹下 稔 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00304767)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウイルス / 抵抗性 / カタラーゼ / シロイヌナズナ |
研究概要 |
昨年度はキュウリモザイクウイルス(CMV)がシロイヌナズナにえそ病徴を誘導する現象について、CMVの2bタンパク質(2b)が宿主のカタラーゼ3(Cat3)の結合に起因することを見出した。えその程度はCMVの系統によって異なり、2bのアミノ酸配列が決定している。本年度は2b-Cat3複合体がどのようなメカニズムでえそを誘導するのか明らかにする目的で2bとCat3タンパク質の相互作用について解析した。アグロインフィルトレーションによってベンタミアーナタバコに2bを発現させると内在性のCatが消失した。この時、2bも同時に検出されなくなった。同様にCat3を2bと一過性に共発現させるとCat3は外来性・内在性ともに宿主細胞のタンパク質分解系によって速やかに分解されることが判明した。すなわち、2bは細胞で行われているCat3のタンパク質分解を促進する働きがあることが明らかになった。すなわち2b-Cat3複合体が宿主因子によって認識され、タンパク質分解が加速するものと考えられた。Cat3は活性酸素を消去することが細胞内での主な役割であることから、Cat3の分解によって活性酸素の濃度が上昇し、細胞死が誘発されるものと思われる。CMVによるシロイヌナズナでのえそ病徴は2b-Cat3複合体の形成によって促進されるタンパク分解によって誘導されると結論した。そもそもCatはプロテアソーム系によって分解され、細胞内蓄積量が調節されることがわかっていることから、2bの共発現はプロテアソーム系の促進であると考えられる。現在、プロテアソームインヒビターを使用して2b-Cat3のタンパク質分解メカニズムを解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初の仮説である「2bがCatに結合し2b-Cat3複合体の分解を促進する」という点について証明することができた。現在、その分解の詳細なメカニズムの解析をしており、順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はプロテアソーム系によって2bとCat3が分解されることを証明する実験を計画している。現在、インヒビターを使用して間接的にプロテアソーム系の関与を示唆する実験に取り組んでいる。また、2bとGFP遺伝子を融合させ、2b-GFPとCat3をアグロインフィルトレーションによって共発現させた場合に、2bの安定性がどのように変化するかモニターする実験も計画している。このことによって、2bのアミノ酸配列の違いによって異なるえそ病徴の程度について分子レベルでの考察ができるものと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年3月納品分(4月末支払分)にて執行 既に執行済み
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