研究課題/領域番号 |
24380031
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩見 邦博 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70324241)
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研究分担者 |
溝口 明 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (60183109)
太田 広人 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (60450334)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カイコ / 休眠 / 温度センサー / 休眠ホルモン |
研究概要 |
温度情報の受容から休眠ホルモン(DH)放出に繋がる分子・神経ネットワーク機構の解析を行ない、概念的に仮定した環境情報の保存・記憶の分子実体を解明するために、[A]温度センサーチャネル(BmTRPA1)のシグナル経路の活性化に伴う神経可塑性および休眠ホルモン(DH)放出制御機構の解析。[B]休眠誘導関連遺伝子の網羅的なスクリーニングの以上2点を行なった。 [A]では、胚期におけるBmTRPA1の発現細胞を免疫染色により明らかにした。さまざまな昆虫種においてTRPAオルソログは、神経系での発現が観察されているが、カイコの胚においては腹肢などの非神経系での発現が観察された。このことは、BmTRPA1が表皮細胞などで温度受容を行ない、その情報が脳に伝えられ休眠誘導に関与する可能性を示した。さらに、蛹の中枢神経系におけるDHの放出制御機構の解析において、脳に存在するペプチドがDHの放出促進に関わる可能性を示した。このペプチドはさまざまな昆虫種において異なる機能を有している。カイコにおいては休眠誘導に関わることが示された。また、休眠誘導には神経ペプチドが重層的に関与する可能性が示された。 [B]においては、卵を25℃および15℃に保護した胚子や蛹の脳-食道下神経節においてRNA-seq.解析を行なった。また、BmTRPA1のRNAiにおける個体でもRNA-seq.解析を行なった。現在、対象間で発現量の異なる塩基配列を数100種類得ている。今後、発現量の異なる遺伝子群を網羅的に再確認し、RNAi実験を行ない、休眠誘導関連遺伝子群を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的に沿い、[A]温度センサーチャネル(BmTRPA1)のシグナル経路の活性化に伴う神経可塑性および休眠ホルモン(DH)放出制御機構の解析。[B]休眠誘導関連遺伝子の網羅的なスクリーニングに関して、研究実施計画通りに進行している。但し、カイコの低温センサーの同定には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているため、[A]温度センサーチャネル(BmTRPA1)のシグナル経路の活性化に伴う神経可塑性および休眠ホルモン(DH)放出制御機構の解析。[B]休眠誘導関連遺伝子の網羅的なスクリーニングに関して研究実施計画通りに進める。なお、今後はカイコの低温センサーの同定に向けた解析を強力に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進行したため、次年度使用額が生じた。次年度はこの予算と次年度予算を合わせた研究費を推進方策の各項目に使用する。
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