研究課題/領域番号 |
24380031
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
塩見 邦博 信州大学, 繊維学部, 准教授 (70324241)
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研究分担者 |
溝口 明 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (60183109)
太田 広人 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (60450334)
白井 孝治 信州大学, 繊維学部, 准教授 (00293499)
中西 弘充 信州大学, サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 助教 (90443001)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カイコ / 休眠 / 温度センサー / RNA-seq. 解析 |
研究概要 |
温度情報の受容から休眠ホルモン (DH) 放出に繋がる分子・神経ネットワーク機構の解析を行ない、概念的に仮定した環境情報の保存・記憶の分子実体を解明する。そのために、まず、温度条件の違う卵およびTRPA1 のノックダウン処理を行なった卵を用いて、RNA-seq. 解析を行なった。その結果、 休眠誘導と関連し、BmTRPA1 の活性化シグナルの下流で機能する可能性がある 56 個の遺伝子をピックアップした。さらに、胚期の温度条件が異なっている蛹の脳ー食道下神経節中の遺伝子についても RNA-seq. 解析を行ない、75 個の遺伝子をピックアップした。興味深いことに、差のあった 75 個の遺伝子の内、13 個 (17.3%) の遺伝子が卵で差のあった遺伝子と重複していた。このことは、休眠誘導には特定の遺伝子群のライフステージ全般を通しての発現量の違いが重要であることを示している可能性がある。 次に、DH の放出に関係すると考えられた脳内ペプチドの作用を検討した。合成したペプチドを非休眠性の蛹に注射したところ用量依存的に休眠卵が誘導された。さらにその活性は DH のものより、時期的に先行していた。このことは、この神経ペプチドが DH 受容体には作用せず、むしろ DH の放出を促進する機能を持つ可能性を示唆する。そこで、piggyBAC 形質転換カイコによる GAL4-UAS システムを利用し、この神経ペプチドの産生細胞の細胞死、神経伝達阻害を誘導する実験を行なうために形質転換カイコの作出を行なった。現在、DH の放出制御および休眠性に与える影響を調査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究の目的に沿い、[A] 温度センサーチャネル (BmTRPA1) のシグナル経路の活性化に伴う神経可塑性および休眠ホルモン (DH) 放出制御機構の解析、 [B] 休眠誘導関連遺伝子の網羅的なスクリーニングに関して、研究実施計画通りに進行している。但し、カイコの低温センサーの同定には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているため、[A] 温度センサーチャネル (BmTRPA1) のシグナル経路の活性化に伴う神経可塑性および休眠ホルモン (DH) 放出制御機構の解析、 [B] 休眠誘導関連遺伝子の網羅的なスクリーニングに関して研究実施計画通りに進める。なお、今後はカイコの低温センサーの同定に向けた解析を強力に進める。
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