研究課題
リン翅目幼虫が持つ生体防御反応は、かなり巧妙な仕組みで異物を排除するが、寄生できる寄生蜂は非常に巧妙な仕組みを使ってこれを回避している。寄主が持つ血球は機能に基づく分類がなされていない。我々が見つけた異物表面に付着してメラニンを細胞の周りに形成するhyper spread cell (HSC)は顆粒プラズマ細胞に分類されると考えられ、その性格付けを行った結果、フェノール酸化酵素前駆体(PPO)、フェノール酸化酵素活性化酵素(PPAE)、serine proteinase様酵素(SPH)を持つことがわかった。これら酵素で異物に付着後に細胞の周りにメラニン沈着を形成するものと考えられる。現在これらの抗体を作成し、寄主体内での血球の挙動を明らかにしている。この血球の発見により寄生蜂側のの制御も解析しやすくなった。そこで血球の伸展接着に着目し、解析を行ったところ寄生蜂が持つ寄主制御要因として、今まで毒液はpolydnavirus (PDV)の寄主血球への侵入を助けるだけと考えられていたが、寄主血球の伸展接着に関与する遺伝子とよく似た遺伝子がPDV内にコードされているとともに、毒液にも存在することが明らかになってきた。これらの遺伝子のRNAの発現はそれに相当する寄主遺伝子の発現と拮抗していること。また寄主血球は寄生後24時間位内にapoptosisが起こり、HSCが消失している可能性が示唆された。またおなじコマユバチ科に属し、同種の寄主に寄生できる寄生蜂でPDVを持たないvirus like particle (VLP)をもつものでも、同じ様な機能を持つ遺伝子を持つことがわかり、PDVの進化の解明にも貢献するものと考える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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