研究課題
発育を延長させる遺伝子について、遺伝子をGFP遺伝子でノックアウトしたウイルス、GFPを非コード領域に挿入したノックインウイルス、当該遺伝子を入れもどしたレスキューウイルス、そして親株ウイルスを用いてアワヨトウ幼虫の行動に及ぼす影響を調査した。それぞれのウイルスに感染させ、人工飼料を用いてカップで飼育し、観察した。非感染幼虫では、蛹化前に、スピニングをして蛹化するための蛹室を作り蛹化した。ノックアウトウイルス感染幼虫は、非感染幼虫と同様に成長し、同様にスピニングの後、蛹室を作り蛹化の準備をしたが、多くの個体は、蛹ー幼虫中間体で死亡した。ノックインウイルス、レスキューウイルス、野生型ウイルスは、終齢期間が延長し幼虫のまま死亡した。これらの個体は、蛹化にかかわる行動は示さなかった。次に、同様な観察をケース内に用意した鉢植えトウモロコシ苗に幼虫を放飼して行った。非感染幼虫は日中においては鉢植えに入れたもみ殻中に潜っており、夜にトウモロコシ上に出て活動した。しかし、ウイルス感染幼虫は、野生型、組換えウイルスの如何に感染したかにかかわらず、このような日周行動は示さず、絶えずトウモロコシ上に留まっていた。非感染幼虫は、蛹化前にもみ殻中に潜り、そこに蛹室を作って蛹化した。ノックインウイルス感染虫も、非感染幼虫と同様にもみ殻に潜り蛹室を作る傾向があった。すなわち、産生されたウイルスは、伝播の可能性の低い地下部に分布した。その他の組換えウイルスでは、幼虫のまま死亡し、もみ殻に潜る行動はなかった。幼虫で死亡する場合には、蛹や蛹―幼虫中間体で死亡する場合よりも、ウイルス産生量が多いこともわかったため、当該遺伝子は、1)感染虫における繁殖を増加させることおよび、2)感染虫の行動を変えることによって、伝播可能な場にウイルスを分布させることにより、ウイルスの適応度に影響していることが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Viruses
巻: 7 ページ: 1960-1974
doi:10.3390/v7041960