研究課題
植物の硫黄同化・代謝は、作物の生産性・質のみならず、含硫二次代謝物質の蓄積、環境修復に影響する。植物は硫黄欠乏(-S)に応じて、硫黄同化を促進し、脂肪族グルコシノレート(mGSL)生合成を抑制する。これまでに、-S応答の包括的な転写制御因子SLIM1、mGSL生合成の抑制因子(論文化に当たり、呼称をRMGからSDIに変更)、およびSULTR2;1の-S応答領域SURE21を見出した。平成28年度には以下の成果が得られた。1) 前年度までに、SDI1が核に局在し、mGSL生合成を促進する転写因子MYB28と相互作用することを見出した。今回、①一過的転写制御実験により、SDI1がMYB28による転写促進活性を抑制すること、②ゲルシフト実験により、MYB28がmGSL生合成酵素群の上流域に結合すること、③SDI1がMYB28とDNAの結合を維持したままMYB28と相互作用すること、を明らかにした。-SによりSDI1の発現が誘導され、mGSL生合成の抑制に至る分子機構を初めて解明した。この成果をScience Adnances誌に発表した。2) 重金属応答と硫黄同化・代謝系との関連を解析し、①カドミウム(Cd)処理による硫酸イオン吸収の増加がSULTR1;2によること、②Cd処理が地上部への硫酸イオン輸送を促進すること、を見出した。この成果をPlant Cell and Physiology誌に発表した。また、SURE21を用いたセレン酸・クロム酸の検出系を開発し、論文発表した。3) これまでに同定した-S応答領域について、結合転写因子を酵母の系を用いて探索した。試した3つの領域それぞれに転写因子候補を得た。4) SLIM1の機能発現に寄与するドメインを探索し、必要領域を30アミノ酸程度に絞り込んだ。以上、期間内に-S応答と硫黄同化・代謝系の制御機構を複数明らかにすることができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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