研究課題
本研究では、カルバゾール分解プラスミドpCAR1を材料に、“プラスミドを持つ”というシグナルが転写制御を経て染色体機能を制御する機構を解明する。これらの現象の一部には、複数の核様体タンパク質が関与することも示唆されているため、NAPsの機能構造解析と、他のNAPs間での相互作用解析を行うことで、上記シグナル伝達経路でのNAPsの機能メカニズムを解明する。平成26年度は、pCAR1保持が引き起こす宿主の浸透圧ストレス耐性の低下について、耐性が向上したと考えられる大型コロニー株(自然変異株と推定される)が高頻度で高濃度KCl含有プレート上に出現することを見いだした。そこで、方針をショットガンクローニングによる原因遺伝子の取得から、自然変異株の取得と全ゲノム塩基配列決定による変異箇所同定へと転換した。現在までに8株の自然変異株を取得し、それらがpCAR1を保持しない宿主よりはストレス下での液体培養で生育が遅延するものの、pCAR1保持株よりは生育が早まることを明らかにした。現在、ゲノム解析を行っており、原因因子が特定され次第、遺伝子破壊株や高発現株を用いた機能解析を開始する予定である。また、dRNA-Seq法によってpCAR1上の転写開始点を網羅的に調べ、転写プロファイルとそのプロモータ配列の特徴の相関を解析した。この情報をもとに、DNAサンプリング法のためのプラスミド作成を終了し、現在、プロモータ領域に結合するタンパク質の網羅的解析を行っている。Pmrとホモログの結晶構造解析については、多量体形成能が低下したTurB変異体(R8A)のN末端側61残基について、2.3オングストロームの分解能で構造を決定することに成功した。これにより、PmrやTurBを含むMvaT様因子の二量体化・多量体化機構において大腸菌H-NSとの相違点と類似点が明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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