遺伝資源の宝庫であるバクテリアの大半はコロニーとして分離培養できない。その障壁の原因を探るため、大腸菌のコロニー形成不全変異株を分離し、変異株と原因遺伝子の特徴を調べようとした。再現性よく優先的に得られたのは不飽和脂肪酸合成の欠損株だった。この変異体はオレイン酸の供給で生育するが、供給が不十分だと液体培養に比べ固体培養が強く抑制され、コロニー頻度が落ちる。野生株でも脂肪酸合成を遺伝的あるいは化学的に抑制することによりコロニー頻度が落ちた。また飢餓状態の環境ではおそらく脂肪酸欠乏に陥り、コロニー頻度が落ちることが示唆された。
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