研究課題/領域番号 |
24380045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
太田 明徳 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30125885)
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研究分担者 |
吉川 博文 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50175676)
堀内 裕之 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00209280)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 酵母 / Yarrowia lipolytica / n-アルカン / 脂肪酸 / 有機酸 |
研究概要 |
酵母Yarrowia lipolyticaのn-アルカンと油脂の代謝経路とその調節を解明し、本酵母の特性を物質生産に生かすために必要な知見を得ることを目的として研究を行い、以下の成果を上げた。 1.YAS1、YAS2、YAS3を介するn-アルカンによる制御の解析 YAS3の欠失変異体および点変異体を作製してドメイン解析を行い、Yas3p中でホスホイノシチド(PIP)との結合に関わる領域を特定した。更にPIPホスファターゼ欠損株を用いた転写解析から、PIPがn-アルカンによる転写制御に関わることが示唆された。 2.n-アルカン代謝遺伝子のグリセロールによる転写抑制 n-アルカン代謝に関わる遺伝子の転写がグリセロールにより抑制されることを明らかにした。さらにこの転写抑制には、Gut1pによるグリセロールのリン酸化が必要であることを明らかにした。 3.n-アルカンの水酸化以降の脂肪酸生成に至る過程の解明 y.lipolyticaのゲノム情報からアルデヒドデヒドロゲナーゼをコードすると推定される4つの遺伝子を見出した。これらの遺伝子を全て破壊した四重破壊株はn-アルカンの資化に欠損を示したこと、四重破壊株ではn-アルカンで誘導される長鎖アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性が見られなかったことから、これら4つの遺伝子が、本酵母のn-アルカン代謝の過程でアルデヒドから脂肪酸への酸化に関わることが初めて示唆された。更にこれらの発現解析を行い、3つの遺伝子の発現がn-アルカンで誘導されることを明らかにした。 以上の知見は、Y.lipolyticaのn-アルカンの代謝とその制御の理解と、本酵母の物質生産への応用に貢献するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
n-アルカンによる転写制御にPIPレベルが関わる可能性を示すことができたこと、グリセロールによる転写抑制機構の一端を解明したこと、n-アルカンの代謝過程でアルデヒドの酸化に関わる酵素群を同定できたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の計画を継続するとともに、n-アルカンの水酸化以降の脂肪酸生成に至る過程の解析については、見出した酵素の性質や局在を解析する。またAcyl-CoA synthetase(ACS)の特性と局在およびそれらの脂肪酸代謝に与える影響の解析も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
<本年度残額が生じた状況>成果を海外英文誌に投稿したが論文の実験を含む改訂を要したために予定した掲載料分が残額となった。<翌年度研究費と合わせた使用計画>論文受理の段階で支払いに当てる。また、n-アルカンの水酸化以降の脂肪酸生成に至る過程の解析のための費用に充当する。
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