研究課題
二成分情報伝達(TCS)系は進化的に保存され、全ての原核生物(バクテリア・古細菌)の環境応答機構に活用されているのみならず、酵母・カビなどの真核微生物にも広く認められる。言いかえれば、TCS系は微生物に見られる最も普遍的で多様化した環境シグナル検知・細胞内情報伝達機構である。従って、TCS系の包括的理解は、環境応答機構や遺伝子発現制御機構といった基礎生物学の基本命題としての重要性のみならず、TCS系に着目した応用微生物学を進展させる為の基盤研究としての重要性は明らかである。以上のような本研究課題の目的と意義に従い、平成25年度は以下のような実績をあげた。(1)ナズナにおけるTCS系を介した成長ホルモン・サイトカイニン応答の包括的解析ーーナズナにおけるサイトカイニン応答性遺伝子発現ネットワークを包括的に理解するために、既に全遺伝子セットDNAアレイを用いたトランスクリプトーム解析を完了している。これを基盤に、候補遺伝子群に関して包括的な機能解析を分子遺伝学的に行うことでサイトカイニンを介して統御される植物高次機能の実体を総合的に把握する。特に、組織・器官分化に焦点をあてた。(2)ナズナにおけるTCS系関連因子と時計機構の分子遺伝学的解析ーー高等植物におけるTCS系の最も特徴的な点は「光シグナル伝達と時計機構」にTCS系が進化的に洗練されたかたちで組み込まれている点である。既に申請者らはその遺伝的実体を明らかにしている。そこで、これら植物に固有の時計関連TCS系の解析を行う
2: おおむね順調に進展している
今までに以下の具体的成果を上げることができた。(1)シロイヌナズナ(高等植物)の成長を制御する重要なホルモンであるサイトカイニンの受容体(TCS関連因子)を同定し情報伝達分子機構の概要を明らかにした。(2)シロイヌナズナ(高等植物)の環境応答を制御する重要なメカニズムであるが概日時計を構成する重要な遺伝子群(TCS関連因子)を見出し、その分子機能を明らかにした。以上のことから本研究課題の計画は概ね順長に進んでいると判断した。
研究計画は概ね順調に進でいるので、申請書で計画した以下の平成26年度課題を遂行する。1) ナズナにおけるTCS系関連因子と時計機構の更なる分子遺伝学的解析2) ミヤコグサを対象としたTCS系の機能解析3)成果の知的財産の構築・共有・社会発信以上、本研究課題の最終年度であることを意識した取りまとめを行う。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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