研究課題
産業酵母の有用形質には,染色体部分領域の重複が重要であることが明らかになってきた。こうした部分異数性と(有用)表現型との関係を明らかにするためには,染色体任意領域の重複を自在に作り出すゲノム工学技術が必要である。申請者らは、昨年度までに、この技術(PCDup法と命名)を開発し、16本の染色体の全てについて,200kb 毎の重複(合計62領域)を作成する研究を進めてきた。その結果,62 領域のうち53領域について重複株を得る事ができた。重複株が得られなかった9領域について、200kb領域を任意に50kb領域に分け重複を試みた結果、7領域については、50kb領域のひとつが重複できず、残りの2領域については、4つの50kbの全てが重複可能であった。これらの結果より、7領域のそれぞれにおいて重複できない50kbの領域については、その領域内に、同時にコピー数が2コピーに増加すると合成致死を引き起こす遺伝子ペアがある可能性が示唆された。また残りの2領域については、4つの50kbの領域のいずれかの組合わせにおいて、同時にコピー数が2コピーに増加すると合成致死を引き起こす遺伝子ペアがある可能性が示唆された。さらに、全53株について表現型の解析を行った。その結果、多くの重複株はストレス感受性を示すものの、高温や酸に対して耐性が見られる株もあった。重複領域内の遺伝子の単独過剰発現では、そうした表現型は報告されていないので、こうした表現型は重複領域内複数遺伝子の同時重複に起因すると考えている。次に、ゲノムの改変をスピードアップするため、複数部位のワンステップ同時分断を目指す研究を開始し、近年開発されたCRISPR/Casゲノム編集技術を、申請者らが開発したPCS法に融合することにより、 異なる染色体上、および同一染色体上の2カ所について同時分断が可能であることを明らかした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
代表研究者の原島 俊は、大阪大学を定年し、熊本にある崇城大学(旧熊本工業大学)の専任教授となりました。
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