研究課題
タンパク質の機能の多くは分子中の可動ループの構造変化によって発現されるが、その構造変化を捉えることは困難な場合が多い。可動ループが結晶中で自由に動ける結晶を調製してX線結晶構造解析を行うのが有力な方法である。本研究では実際に食品産業において用いられているβ‐アミラーゼ、アルギン酸リアーゼ、プロテイングルタミナーゼおよびトランスグルタミナーゼを取り上げ、これらの酵素の可動ループの構造と機能を徹底的に解明することを目的とした。1.β‐アミラーゼの可動ループの解析 β-アミラーゼの活性部位に存在する二つの可動ループ上の変異体を作成し、基質アナログであるマルトースの濃度変化に対応する各ループの構造変化を捉えることに成功している。その詳細を明らかにするために野生型、T342S、 T342A、V99A、V99I等の変異体の結晶化をい、1.3 Å以上の分解能での構造解析を行った。また、ループおよび基質結合のpH変化については、凍結状態では実験の再現性が得られないため、野生型酵素の非凍結状態(キャピラリー封入)の結晶を用いて大型放射光施設で一連の予備的測定を行った。2.トランスグルタミナーゼのプロ領域ペプチドの役割 トランスグルタミナーゼとそのプロ領域ペプチドの複合体のX線結晶構造解析を行い、複合体はプロ酵素と同様の構造をとることを明らかにした。また、このペプチドは酵素反応の阻害剤として作用することを明らかにした。3.プロテイングルタミナーゼの活性部位の解析 プロテイングルタミナーゼのプロ体の変異体を用いて調製したSアシル中間体の構造解析から本酵素の反応機構を検討した結果、本酵素はアンモニアイオンの存在で逆反応が可能なことが推定された。そこで、触媒ポケット周辺の残基の変異により、タンパク質のグルタミン酸残基をグルタミン残基に変換する酵素の設計を行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (8件) 備考 (2件)
Acta Crystallogr. F Struct. Biol. Commun.
巻: 71 ページ: 132-135
10.1107/S2053230X14027484
J. Biol. Chem.
巻: 290 ページ: 6281-6292
10.1074/jbc.M114.604546
Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 456 ページ: 35-40
10.1016/j.bbrc.2014.11.028
巻: 289 ページ: 33198-33214
10.1074/jbc.M114.585661
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 79 ページ: 45-50
10.1080/09168451
Biochimie.
巻: 106 ページ: 33-38
10.1016/j.biochi.2014.07.016
FEBS J.
巻: 281 ページ: 2659-2673
10.1111/febs.12812
巻: 70 ページ: 424-432
10.1107/S2053230X14003926
http://www.structure.kais.kyoto-u.ac.jp/
http://www.applife.kais.kyoto-u.ac.jp/system/fck/11.pdf