研究課題/領域番号 |
24380058
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 信 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40253512)
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研究分担者 |
角田 佳充 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00314360)
沖野 望 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90363324)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖脂質 / クリプトコッカス / エルゴステリルグルコシド / ステリルグルコシド分解酵素 / GlcCer / EGCrP |
研究概要 |
クリプトコッカス症の原因菌Cryptococcus neoformansのグルコシルセラミド (GlcCer)は、4/8位に二重結合、9位にメチル基を持つ真菌特異的な長鎖塩基を有し、増殖や感染に重要であることが示されている。我々は真菌類のGlcCer分解酵素としてEGCase-related Protein 1 (EGCrP1) を同定した。C. neoformansのEGCrP1欠損株 (EGCrP1 KO) では、二重結合やメチル基を持たない未成熟なGlcCerが蓄積することから、EGCrP1は合成系と連動してGlcCerの品質管理に関わっていることが示唆される。一方、酸性条件下ではEGCrP1 KOにおいてもGlcCer分解活性が残存していたことから、新たにGlcCer分解酵素を探索した結果、EGCrP1のホモログであるEGCrP2を見出した。大腸菌で発現させたEGCrP2は、C6-NBD-GlcCer のみならず、様々なβ-グルコシドを分解し、GlcCerのみを分解するEGCrP1とは異なる特異性を示した。EGCrP2の生物機能を明らかにするために作製したEGCrP2欠損株 (EGCrP2 KO) とEGCrP1/EGCrP2二重欠損株 (DKO) は、EGCrP1 KOと異なり、エルゴステリル-β-グルコシドが蓄積しており、野生株に比べて対数増殖期の後半から増殖の抑制と細胞の肥大化が観察された。また、これらの変異株の液胞は肥大化していた。以上の結果は、EGCrP2はエルゴステリル-β-グルコシドの分解(異化)経路の責任酵素であることを示している。EGCrP2の欠損は、C. neoformansの増殖に影響を与えることからEGCrP2は抗真菌薬のターゲットとしても有望と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGCrP1, EGCrP2遺伝子のノックアウト株および両遺伝子のダブルノックアウト株の取得に成功している。これらの解析からEGCrP1はGlcCer分解酵素、EGCrP2はステリルグルコシド分解酵素と同定することができた。どちらも真菌類では初めての酵素である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、EGCrP1, 2の阻害剤の探索および両酵素のX線結晶構造解析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は最終年となり、研究を取り纏める必要がある。取り纏めに必要な実験経費(物品費)として繰り越した。 物品費として使用する。
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