研究実績の概要 |
真菌類のEGCrP1, EGCrP2の分布を詳細に調べると、EGCrP2は真菌類に広く分布し、EGCrP1はCryptococcus neoformansなど限定して存在していることが分った。また、それらのグルコシルセラミド(GlcCer) の長鎖塩基の多様性を調べると、EGCrP1を持つ真菌のGlcCerは真菌特異的な長鎖塩基(methyl 18:2)だけを持つセラミドを有しているが、EGCrP1を持たない真菌のGlcCerは合成途上の長鎖塩基(18:0, 18:1, 18:2)を持つセラミドを有していることが明らかになった。そこで、EGCrP1を持たないPichya pastrisにEGCrP1を発現させた。その結果、P. pastrisのGlcCerは、C. neoformansと同様に、真菌特異的な長鎖塩基(methyl 18:2)のセラミドのみを保有するようになった。この実験結果は、EGCrP1がGlcCer合成系と共役して未成熟な長鎖塩基を持つGlcCer を排除し、GlcCerの品質管理を行っている決定的証拠の1つと考えられる。 EGCrP2のX線結晶構造解析に成功した。エルゴステリルグルコシドとの結合モデルを作成し、エンドグリコセラミダーゼ(EGCase)とGM3の共結晶構造と比較したところ、オリゴ糖セラミドを分解するEGCaseと比較して基質クレフトの糖結合部位のスペースが極めて狭いことが明らかになり、基質特異性を構造の面から裏づけることができた。 出芽酵母にEGCrP2が存在することを見出し、その精製と諸性質の検討を行った。また、遺伝子KO株を作製したところ、エルゴステリルグルコシドの蓄積と液胞の形成不全が起こることを見出した。
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